セッション情報 | 専修医セッション(卒後3-5年) |
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タイトル | 11:ヘパリン起因性血小板減少症によりEMR後出血を繰り返した1例 |
演者 | 森瀬 貴之(東京医科大学 消化器内科) |
共同演者 | 冨永 直之(東京医科大学 消化器内科), 福澤 誠克(東京医科大学 消化器内科), 草野 央(東京医科大学 消化器内科), 八木 健二(東京医科大学 消化器内科), 山本 圭(東京医科大学 消化器内科), 辻 雄一郎(東京医科大学 消化器内科), 八木 直子(東京医科大学 消化器内科), 佐藤 丈征(東京医科大学 消化器内科), 植松 淳一(東京医科大学 消化器内科), 岸本 佳子(東京医科大学 消化器内科), 河野 真(東京医科大学 消化器内科), 杉本 勝俊(東京医科大学 消化器内科), 後藤田 卓志(東京医科大学 消化器内科), 糸井 隆夫(東京医科大学 消化器内科), 今井 康晴(東京医科大学 消化器内科), 中村 郁夫(東京医科大学 消化器内科), 森安 史典(東京医科大学 消化器内科) |
抄録 | 〔緒言〕高齢化に伴い抗凝固薬が広く使用されている現在、内視鏡治療時の取り扱いに苦慮する場面に遭遇する。EMR後出血を繰り返したヘパリン起因性血小板減少症(以下HIT)を経験したので報告する。〔症例〕80歳代、女性〔既往歴〕リウマチ性弁膜症に対する機械弁置換術にてワルファリン2.6mg/日服用中〔現病歴〕注腸造影検査にて直腸Rbに径6mmのIspを認め、内視鏡的治療目的に当科紹介となった。入院同日よりワルファリン内服からヘパリン置換(12000単位/日)にて第7病日にEMR施行した。〔経過〕第8病日よりワルファリン服用及びヘパリン持続投与再開したが、PT-INR延長認めず予防的にヘパリン持続投与を継続した。第14病日に鮮血便を認め下部消化管内視鏡検査施行したところ切除後潰瘍より静脈出血を認めクリップ止血術を行った。第15病日に再度鮮血便認め同部より静脈出血を認めたため再度クリップにて止血を行った。同日の採血で血小板数58,000/μlと入院日109,000/μlと比較し著明な減少を認めていた。HITの臨床診断に用いられる4T`sスコアは5点でありヘパリン使用に伴うHITを疑いヘパリン投与中止したところ血小板は速やかに改善し、その後再出血は認めなかった。〔考察〕HITの発症頻度は0.1-1%程度ではあるが、内視鏡検査や治療においてワルファリン服用患者に対してヘパリン置換を行うと必然的に遭遇する機会が増えるものと思われる。2012年に改訂された抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドラインでは、低危険度の内視鏡治療であればワルファリンは治療域であれば服用継続したまま治療を行い、高危険度内視鏡治療ではワルファリンを3-5日休薬しヘパリン置換を考慮する、こととされている。EMRは高危険度治療に分類されるが本症例のような小ポリープの治療においてはヘパリン置換せずワルファリン服用継続のまま治療を施行したほうがHITや血栓塞栓症などのリスクを軽減できた可能性もある。今後、患者リスクと治療リスクを検討した上で症例毎に方針を決定する丁寧さが求められる。 |
索引用語 | HIT, EMR |