セッション情報 | 専修医セッション(卒後3-5年) |
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タイトル | 2:経鼻胃管自己挿入が奏効した空気嚥下症の一例 |
演者 | 浅居 僚平(日本大学医学部 消化器肝臓内科) |
共同演者 | 松本 直樹(日本大学医学部 消化器肝臓内科), 入江 彰(日本大学医学部 消化器肝臓内科), 中村 仁美(日本大学医学部 消化器肝臓内科), 菊池 浩史(日本大学医学部 消化器肝臓内科), 佐藤 秀樹(日本大学医学部 消化器肝臓内科), 水野 滋章(日本大学医学部 消化器肝臓内科), 森山 光彦(日本大学医学部 消化器肝臓内科) |
抄録 | 【症例】50歳代男性。三叉神経障害で当院耳鼻科かかりつけの患者。平成25年8月、処方薬を内服後より腹部膨満感を自覚したため当院救急外来受診した。腹痛、嘔気、嘔吐は認めないものの腹部膨満感強く、腹部レントゲンにて巨大胃泡、ニボー認めたため当科へ紹介となった。胃管挿入し脱気、排液した後、上腸間膜動脈(SMA)症候群の疑いにて入院となった。最終の排便は前日の夕方であり水様便であった。血液検査では白血球の増加認めるもののそれ以外の異常所見はなかった。CT上で明らかな閉塞機転も認めなかった。上記、SMA症候群の他、胃軸捻転症も考慮し上部消化管内視鏡検査も施行したが蠕動運動は良好で狭窄や捻転はみられなかった。経過中、禁食にも関わらず胃泡は増加していった。ただし、本人と会話中に空気を嚥下する癖が頻回に見られ、また唾液も多い様子であった。その為、腹部膨満の原因は器質的な疾患より精神心療内科的疾患である空気嚥下症を疑った。空気の嚥下を控え、げっぷを積極的に行うよう本人に説明したが、癖は治らなかった。当院、精神科、心療内科に紹介しロフラゼプ酸エチルの処方を開始したが改善は見られなかった。そのため、当科にて六君子湯、メトクロプラミド、ジメチコン、硝酸イソソルビド、アコチアミドを処方したが効果を認めなかった。その後、胃管挿入手技を本人に対し指導し、腹部膨満時は自己挿入するように説明したところ腹部X線で胃泡の縮小が見られ、退院とした。【考察】空気嚥下症の治療については精神的な面が大きいため一定の治療法はない。ストレスやうつ症状を持つ人がなりやすいという観点から抗不安薬、消化管機能改善薬などの薬物療法の他、認知行動療法や、カウンセリングが行われる。また噛み締めによる唾液嚥下を軽減するためにスプリント療法(マウスピース)を併用することが提案されている。本症例でも精神的領域、消化器的領域、歯科的領域からもアプローチ試みたが根本的な解決は得られなかった。そこで我々は解決策として胃管を自己挿入する手技を患者に対し指導する方法を考案し、奏効したので報告する。 |
索引用語 | 空気嚥下症, 経鼻胃管 |