セッション情報 研修医セッション(卒後2年迄)

タイトル 65:

アルコール性肝硬変に伴った十二指腸静脈瘤破裂により死亡した剖検の一例

演者 齋藤 洋子(大森赤十字病院)
共同演者 栗原 大典(大森赤十字病院), 須藤 拓馬(大森赤十字病院), 河野 直哉(大森赤十字病院), 芦苅 圭一(大森赤十字病院), 関 志帆子(大森赤十字病院), 鶴田 晋佑(大森赤十字病院), 高橋 昭裕(大森赤十字病院), 千葉 秀幸(大森赤十字病院), 井田 智則(大森赤十字病院), 諸橋 大樹(大森赤十字病院), 後藤 亨(大森赤十字病院)
抄録 肝硬変の患者の消化管出血の原因に食道や胃の静脈瘤破裂が原因となることは少なくない。今回我々はアルコール性肝硬変の患者に合併した十二指腸の静脈瘤破裂を経験したので報告する。
症例は71歳の男性。アルコール性肝硬変の診断で総合病院を不定期に受診していたが、禁酒の指示が守れず服薬も遵守できなかった。9月下旬に自宅で発熱と意識混濁が出現したため家族が救急搬送を要請したが、同院は対応困難のため当院に搬送された。来院時の血液検査ではT-BIL 4.5mg/dl、GOT138IU/L、GPT31IU/L、WBC 7500/μl、Hb10.6g/dl。腹部CT検査では肝腫大を疑われ肝障害の治療目的で入院となった。しかし直後に大量の吐下血が出現したため緊急で内視鏡検査を施行したところ、十二指腸下行脚に径15mm大の巨大な静脈瘤を認めて噴出性の出血が続いていた。そのため出血部位を中心に8か所にEZクリップを装着したところ止血を確認できたため終了とした。しかし翌々日にも大量の吐下血が出現したため再度内視鏡検査を施行したところ同部位より再出血を認めたため追加で4か所にEZクリップを装着して止血を確認した。その後の造影CT検査では上腸間膜静脈から流出して拡張を伴いながら十二指腸下行脚で静脈瘤を形成し下大静脈に流入している血管を認めた。BRTO等の追加治療が必要と判断していたが、3度目の大量の吐下血を起こしてショック状態となり処置は困難となった。家族はこれ以上の治療は希望されず対処療法のみでの治療となり入院5日目に心肺停止となり永眠され同日剖検に同意された。剖検所見では肝臓は線維化が強く肝硬変の所見であり、静脈瘤は上腸間膜静脈から流出して十二指腸下行脚に隣接する形で怒張しており下大静脈に流入していた。十二指腸静脈瘤破裂は稀な病態であり、その剖検所見を確認し得たので文献的考察を踏まえ報告をする。
索引用語 十二指腸静脈瘤, アルコール性肝硬変