セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 14:

急性肝不全の治療中に発症した腸管気腫症の一例

演者 岩井 健太郎(筑波大学 消化器内科)
共同演者 福田 邦明(筑波大学 消化器内科), 細川  義彦(筑波大学 消化器内科), 俣野 大介(筑波大学 消化器内科), 陶 経緯(筑波大学 消化器内科), 圷 大輔(筑波大学 消化器内科), 長谷川 直之(筑波大学 消化器内科), 石毛 和紀(筑波大学 消化器内科), 安部井 誠人(筑波大学 消化器内科), 兵頭 一之介(筑波大学 消化器内科)
抄録 【緒言】腸管気腫症は,腸管壊死や膠原病などが誘発要因として挙げられる.ステロイド投与中に腸管気腫を発症したという報告も散見されるが,その発症機序は未だ不明である.【目的】急性肝不全に対するステロイド投与中に著明な腸管気腫症を併発した症例を経験したので報告する.【症例】49歳,女性.6週間前に肝障害,黄疸で近医入院となった.経過観察で一時改善するも退院後再燃し,黄疸の増悪,PTの低下を認めたため,急性肝不全と診断され紹介入院となった.原因不明であったが劇症化が予想されたため,同日よりステロイドパルスとIFN-βを開始した.入院翌日にはPT 37%,アンモニアの上昇を認め劇症化したが,黄疸が改善傾向であったため人工肝補助療法をすぐには行わず,ラクツロースとクラビットの内服を開始した.その後PTは改善傾向となったが血小板が低下し,第14病日でIFNは中止した.ステロイドは段階的に減量していったが,第24病日に突発する腹部の激痛を自覚した.腹部造影CT検査では腹腔内に多量のfree airと回腸末端から横行結腸にかけての広範な腸管気腫を認めた.緊急開腹も検討したが,腹痛が一過性で改善し,腹部症状,炎症反応ともに軽度であったことから酸素投与(6L/min)と絶食,抗生剤による保存的治療を選択した.その後,気腫は遷延したが,経過は良好であり,第50病日に食事を開始し,第62病日に退院となった.【考察】腸管気腫症の発症原因は明確ではないが,幾つかの仮説は報告されている.ステロイド投与は,腸管粘膜の脆弱性を惹起することで腸管気腫症を発症すると考えられている.腸管気腫症に対する治療法は酸素投与などの保存的治療と外科的治療に大別される.本症例では保存的治療を選択し良好な転帰をたどったが,腸管壊死や穿孔を伴う場合は緊急開腹術が必要であるため,適切な診断と治療法の選択が肝要である.【結語】急性肝不全の治療中に発症し,保存的治療で良好な経過をたどった腸管気腫症の症例を経験した.若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 腸管気腫症, ステロイド