セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 28:

急性閉塞性化膿性胆管炎(AOSC)に門脈血栓を併発した1症例

演者 青木 勇樹(戸田中央総合病院 消化器内科)
共同演者 山本 健治郎(戸田中央総合病院 消化器内科), 吉益 悠(戸田中央総合病院 消化器内科), 竹内 啓人(戸田中央総合病院 消化器内科), 永谷 菜穂(戸田中央総合病院 消化器内科), 竹内 眞美(戸田中央総合病院 消化器内科), 田中 麗奈(戸田中央総合病院 消化器内科), 羽山 弥毅(戸田中央総合病院 消化器内科), 山田 昌彦(戸田中央総合病院 消化器内科), 堀部 俊哉(戸田中央総合病院 消化器内科), 原田 容治(戸田中央総合病院 消化器内科), 糸川 文英(東京医科大学病院 消化器内科), 糸井 隆夫(東京医科大学病院 消化器内科)
抄録 症例は60歳代男性。既往歴は平成24年10月、他院で胆石胆嚢炎の加療歴があり、平成25年3月30日、突然の発熱、意識障害にて救急搬送となった。採血にて炎症反応の著明な上昇、肝機能障害、血小板減少を認め、腹部単純CTにて総胆管結石による急性閉塞性化膿性胆管炎(AOSC)と診断し、同日、内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)を施行した。しかし、第4病日早朝にENBDチューブを自己抜去し転倒したため、胆管ステントを留置した。同日の夜間、多量の暗赤色便、血圧低下を認めたため、緊急で上部消化管・大腸内視鏡検査を施行するも出血源は同定できなかった。そのため腹部造影CTを施行したところ肝損傷(肝損傷分類 IIIa型)、腹腔内出血及び門脈血栓を認めた。肝損傷はENBDチューブを自己抜去した際に転倒し受傷したものと判断した。肝損傷に対し外科的治療も選択肢に入れて当院外科にコンサルトした結果、造影CTにて明らかな造影剤の漏出がみられないことや全身状態を考慮し保存的治療とした。その後は第7病日、第21病日、第42病日に造影CTで経過をみていたが、血腫は縮小傾向を認めた。胆管炎に対しては胆管ステントにより炎症が鎮静化し、全身状態の改善を待ち採石を試みたが、confluence stoneであったため、当院での加療は困難と考え、第53病日、他院にて胆道鏡下laser波による採石術を行った。また門脈血栓に対しては、第21病日からHeparinおよびWarfarin投与を開始し、経過良好のため以後外来での経過観察として、第84病日に軽快退院した。本症例はAOSCに門脈血栓を合併した稀な症例であり、さらに肝損傷を併発したため治療に難渋した1例を経験したので報告する。
索引用語 総胆管結石, 門脈血栓