セッション情報 | 専修医セッション(卒後3-5年) |
---|---|
タイトル | 29:複数回の各種ドレナージにより治療しえた脾被膜下・膵体尾部感染性仮性嚢胞の一例 |
演者 | 西條 広起(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科) |
共同演者 | 杉田 知典(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科), 廣瀬 雄紀(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科), 三浦 由起子(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科), 古橋 広人(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科), 關 伸嘉(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科), 宮崎 民浩(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科), 会田 雄太(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科), 板垣 宗徳(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科), 石黒 晴哉(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科), 安部 宏(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科), 須藤 訓(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科), 相澤 良夫(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科) |
抄録 | 【症例】38歳男性【既往歴】アルコール性膵炎,両側大腿骨頭壊死【家族歴】特記事項なし【飲酒歴】積算飲酒量730kg【現病歴】2013年6月下旬より左上腹部痛が出現し当院救急受診.高度炎症反応,血中・尿中AMY高値,腹部CTで膵体尾部および脾臓背側に嚢胞性病変を認め,慢性膵炎急性増悪および感染性仮性膵嚢胞の診断で緊急入院となった.【入院時身体所見】体温38.5℃ BMI 17kg/m2. 腹部は平坦・軟,左上腹部~側腹部に著明な圧痛・叩打痛を認める.【入院時血液検査所見】WBC 10400/μl,Hb 14.5g/dl,Plt 25.8万/μl,膵AMY122U/L ,CRP 15.7mg/dl. 【経過】入院後絶飲食,抗生剤投与を開始するも改善乏しく,経乳頭的アプローチは膵炎増悪のリスクが高いと判断し,第10病日にCT/エコーガイド下経皮的嚢胞ドレナージを施行したところ,腹痛・炎症反応は沈静化し,画像所見でも嚢胞性病変の縮小を認めたため食事摂取開始.しかし食事開始3日後に症状再燃しCTで膵体尾部および脾被膜下の嚢胞は再び増大を認め,ドレナージ不良のため再ドレナージの適応と考えられた.画像所見上,再度の経皮的穿刺は困難であったため,第27病日に膵体部の嚢胞に対しEUS下経胃的ドレナージを施行し,経鼻的に外瘻化した.連日嚢胞内洗浄を行い腹痛および炎症反応は再度沈静化したが,再燃の可能性が高く短期間で嚢胞径が増大したことから,膵管と嚢胞の交通が疑われ,精査目的に第39病日にERCPを施行.膵体部主膵管に狭窄を認め,軽度拡張した尾側膵管および主膵管と交通する嚢胞が描出されたため,膵管ステントを留置した.その後は食事摂取再開後も症状再燃はみられず,第52病日に軽快退院となった.【考察】膵仮性嚢胞の内科的治療に対しては経皮・経消化管・経乳頭的ドレナージがあり,病態に応じ選択される.特に脾内膵仮性嚢胞に関しては脾摘を要する場合も多く内科的加療に難渋することが少なくない.今回,複数回の各種ドレナージの末治療しえた脾被膜下・膵体尾部感染性仮性嚢胞の一例を経験したため,若干の文献的考察を加え報告する. |
索引用語 | 膵仮性嚢胞, ドレナージ |