セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 20:

顎下腺腺様嚢胞癌の転移性肝癌の一例

演者 豊田 紘二(獨協医科大学 越谷病院 消化器内科)
共同演者 國吉 徹(獨協医科大学 越谷病院 消化器内科), 山岸 秀嗣(獨協医科大学 越谷病院 病理部), 片山 裕視(獨協医科大学 越谷病院 消化器内科), 関山 達彦(獨協医科大学 越谷病院 消化器内科), 北濱 彰博(獨協医科大学 越谷病院 消化器内科), 草野 祐実(獨協医科大学 越谷病院 消化器内科), 寺内 厳織(獨協医科大学 越谷病院 消化器内科), 須田 季晋(獨協医科大学 越谷病院 消化器内科), 玉野 正也(獨協医科大学 越谷病院 消化器内科)
抄録 症例は71歳の男性。2009年8月に当院耳鼻科にて顎下摘出術を施行。病理学的に腺様嚢胞癌と診断され、以後半年毎の耳鼻科受診にて局所再発は認めていない。2011年7月に上腹部痛で消化器内科を受診。腹部超音波検査にて胆嚢ポリープを指摘された。この時の検査では肝内に占拠性病変は認めなかった。1年後の2012年8月に胆嚢ポリープに対する経過観察目的の超音波検査が施行された。胆嚢ポリープに変化はなかったが、肝右葉に最大径7.5cm大の腫瘍を認めた。腫瘍は不整で辺縁低エコー帯を有し、内部は不均一な高エコーを呈していた。ダイナミックCTでは腫瘍は多発し、ring状濃染を呈した。以上より転移性肝癌を疑い、上下部内視鏡検査およびPET-CT検査が施行されたが原発巣は同定できず、超音波ガイド下の腫瘍生検が施行された。病理学的には2009年の顎下腺腺様嚢胞癌に類似した所見を認め、免疫組織学的に同癌の肝転移と診断した。顎下腺腺様嚢胞癌は顎下腺悪性腫瘍では最も多く、原発巣切除後10年を超えても生存曲線の低下傾向を呈する予後不良の腫瘍である。術後10-25年の長期間を経て遠隔転移を認めることも少なくないが、肝転移は稀とされる。本症例は1年間という短期間に巨大な肝転移巣が発現した、きわめて稀な症例と考え報告する。
索引用語 転移性肝癌, 顎下腺腫瘍