セッション情報 一般演題

タイトル 52:

全身化学療法により長期生存を得た原発不明のPoorly differentiated neuroendocrine carcinoma (PDNEC)の一例

演者 奥山 浩之(国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科)
共同演者 桑原 明子(国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科), 高橋 秀明(国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科), 大野 泉(国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科), 清水 怜(国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科), 光永 修一(国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科), 小嶋 基寛(国立がん研究センター東病院 臨床腫瘍病理分野), 池田 公史(国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科)
抄録 75歳女性.検診にて肝機能障害を指摘され,近医を受診した.CTにて多発肝腫瘍を指摘され,転移性肝癌の疑いで2009年12月に当院紹介受診となった.造影CTでは,肝に最大14cmのリング状造影効果を伴う多発腫瘍を両葉に認めたが,その他に腫瘤性病変は指摘できなかった.上・下部消化管内視鏡検査では原発を示唆する所見は認めなかった.肝腫瘍生検にて,N/C比の高い腫瘍細胞を含む胞巣状集塊を形成する上皮性腫瘍を認め,Chromogranin A陽性,Synaptophysin陽性であった.以上より,肝転移を有する原発不明のPDNECと診断した. 切除不能と判断し,小細胞肺癌に準じて化学療法を行う方針とした.高齢者であることから,Carboplatin + Etoposide療法を4コース行った.最良総合効果は病勢安定(SD)であった.二次療法として,Irinotecanを開始したが,2コース終了した時点で進行(PD)となり,三次療法としてAmrubicinを開始した.最良総合効果は部分奏効(PR)であり,PDとなるまで15コース(約1年間)にわたり継続可能であった.その後,全身状態が良好であったため,四次療法としてMEK阻害薬の第I相試験に登録し,治療を開始した.2コース後に全身状態が悪化したため緩和ケアの方針となり,一次療法開始から約2年1か月で永眠された. PDNEC(WHO 2010ではほぼneuroendocrine carcinomaに相当する)は予後が不良であることが知られ,治療は小細胞肺癌に準じて行われることが多い.本症例は三次治療であるAmrubicinが長期にわたって奏効し,長期生存を得ることができた貴重な症例と考えられたため,文献的考察を加えて報告する.
索引用語 NEC, 化学療法