セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 21:

奇異な画像を呈した肝内胆管細胞癌の一例

演者 荻野 悠(東邦大学医療センター大森病院 消化器内科)
共同演者 松井 哲平(東邦大学医療センター大森病院 消化器内科), 永井 英成(東邦大学医療センター大森病院 消化器内科), 松井 太吾(東邦大学医療センター大森病院 消化器内科), 佐藤 綾(東邦大学医療センター大森病院 消化器内科), 松清 靖(東邦大学医療センター大森病院 消化器内科), 高亀 道生(東邦大学医療センター大森病院 消化器内科), 金山 政洋(東邦大学医療センター大森病院 消化器内科), 大道 泰子(東邦大学医療センター大森病院 消化器内科), 篠原 美絵(東邦大学医療センター大森病院 消化器内科), 岡野 直樹(東邦大学医療センター大森病院 消化器内科), 池原 孝(東邦大学医療センター大森病院 消化器内科), 籾山 浩一(東邦大学医療センター大森病院 消化器内科), 篠原 正夫(東邦大学医療センター大森病院 消化器内科), 渡邉 学(東邦大学医療センター大森病院 消化器内科), 石井 耕司(東邦大学医療センター大森病院 消化器内科), 五十嵐 良典(東邦大学医療センター大森病院 消化器内科), 住野 泰清(東邦大学医療センター大森病院 消化器内科), 根本 哲生(東邦大学医療センター大森病院 病理診断科), 渋谷 和俊(東邦大学医療センター大森病院 病理診断科)
抄録 症例は30歳台男性。全身倦怠感を主訴に来院。2011年の健診で脂肪肝を指摘されていたが、2013年5月の健診で肝障害を指摘され近医を受診。腹部超音波検査で、肝内に多発する腫瘤を初めて指摘され当院へ紹介となった。既往歴は、高血圧のみ。飲酒歴なし。入院時の血液生化学所見では、ALT優位の肝障害を認め、γGTP 199IU/Lと胆道系酵素の上昇も認めた。その他、腫瘍マーカーではAFP-L3 のみ35.7%と高値であった。腹部超音波検査では、脂肪肝と共に肝右葉ほぼ全域を占めるび慢性の等エコー腫瘍と肝左葉の低エコー腫瘍数個が認められた。また造影腹部超音波検査では、腫瘤の早期染影欠損を認めた。造影腹部CT検査では、肝右葉を占める早期相から後期相にかけて強く濃染する腫瘍像と肝左葉に散発する同様の造影所見を呈する腫瘤像を認めた。なお、上下部内視鏡検査では、異常所見を認めなかった。入院後、背景肝は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)による肝硬変が疑われ、多発肝腫瘍は肝細胞癌とは異なる画像所見を呈していたことから、転移性肝腫瘍、肉腫様癌、神経内分泌腫瘍、胆管細胞癌などの鑑別疾患を念頭に、腫瘍部および非腫瘍部の超音波下経皮的狙撃生検を施行した。その結果、腫瘍部は肝内胆管細胞癌、非腫瘍部はNASHと診断した。予後規定因子は肝臓であること、そして血流に富んだ腫瘍であることを考慮し、現在5-FUを用いた持続肝動注化学療法を施行中である。今回NASHを背景肝として、診断に苦慮した特異な画像所見を呈する多血性肝内胆管癌の一症例を経験したので、既報も含めて考案し報告する。
索引用語 NASH, 肝内胆管細胞癌