セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 3:

Upside down stomachを呈した食道裂孔ヘルニアの2例

演者 朝井 靖二(東京労災病院 消化器内科)
共同演者 大塚 隆文(東京労災病院 消化器内科), 團 宣博(東京労災病院 消化器内科), 山内 芳也(東京労災病院 消化器内科), 武田 悠希(東京労災病院 消化器内科), 植木 伸夫(東京労災病院 消化器内科), 和久井 紀貴(東京労災病院 消化器内科), 大場 信之(東京労災病院 消化器内科), 西中川 秀太(東京労災病院 消化器内科), 児島 辰也(東京労災病院 消化器内科)
抄録 症例1は73歳女性。平成24年7月上旬に吐血したが、様子を見ていた。3ヶ月後に再び吐血したため近医を受診したところ、Hb4.8g/dlと著明な貧血を認め、当院に紹介入院した。上部消化管内視鏡検査を施行したところ著明な食道裂孔ヘルニアを認めたが活動性出血の所見はなかった。上部消化管造影検査で胃は幽門輪と前庭部の一部を残し大部分が胸腔内に脱出しており、臓器軸性の胃軸捻転を伴っていた。以上より混合型の巨大食道裂孔ヘルニアに胃軸捻転を合併したupside down stomachと診断した。胸腹部CTでは既知のヘルニアに加え重度の側弯症と多発嚢胞腎を認めた。濃厚赤血球輸血と鉄剤投与で貧血は改善し、第6病日に経口摂取を開始した。しかし、第23病日に吐血したため緊急内視鏡を施行した。活動性出血はなかったものの食道胃接合部の食道粘膜に一致する部分に白苔の付着を認めた。絶飲食とプロトンポンプ阻害薬投与を行ったところ症状は改善した。症例2は75歳女性。平成25年7月上旬に自転車で転倒し、当院整形外科を受診した。外来受診時に施行された胸腹部CTにて胃及び横行結腸が胸腔内に脱出しており、胃軸捻転を伴っていた。以上より、横行結腸の脱出を伴うupside down stomachと診断された。消化器症状はなく、経過観察となった。Upside down stomachは胃の大部分が胸腔内に脱出捻転し大弯が最も高い位置を占めるもので、2003年から2013年で本邦では53例が報告されている。本疾患では外科的治療が第1選択とされているが、いずれも外科的治療を希望されなかったため、十分なインフォームドコンセントの上で保存的に経過観察中である。
索引用語 upside down stomach, 巨大食道裂孔ヘルニア