セッション情報 研修医セッション(卒後2年迄)

タイトル 83:

Sweet病治療経過中に潰瘍性大腸炎と診断された1例

演者 高橋 綾(東京歯科大学市川総合病院 消化器内科)
共同演者 木村 佳代子(東京歯科大学市川総合病院 消化器内科), 三好 潤(東京歯科大学市川総合病院 消化器内科), 財部 紗基子(東京歯科大学市川総合病院 消化器内科), 荒畑 恭子(東京歯科大学市川総合病院 消化器内科), 伊藤 麻子(東京歯科大学市川総合病院 消化器内科), 貝田 将郷(東京歯科大学市川総合病院 消化器内科), 岸川 浩(東京歯科大学市川総合病院 消化器内科), 西田 次郎(東京歯科大学市川総合病院 消化器内科)
抄録 【症例】70歳代 男性【主訴】下痢、血便【既往歴】高血圧症【現病歴】2009年よりしばしば5-6行/日の下痢を認めていたが医療機関を受診していなかった。2011年10月に発熱・上肢を中心とする皮疹が出現したため当院皮膚科を受診し、皮膚生検を施行されSweet病と診断された。ヨウ化カリウムにて加療され皮膚症状は安定していたが、2012年12月より白血球増加を伴う発熱を認め、また下痢症状の増悪を認めたことを皮膚科主治医に訴えたところ、Sweet病合併疾患である炎症性腸疾患の存在が疑われた。同月当科を受診し、下部消化管内視鏡検査を施行し直腸からS状結腸に血管透見の消失、浮腫、発赤を認め、左側型の潰瘍性大腸炎と診断した。アサコールR2.4g/日の内服治療を開始したところ症状は一時、改善傾向となったが、内服開始16日目より発熱・排便回数の増加と著明な炎症反応上昇(CRP21.47mg/dl)を認めたため同日緊急入院となった。【入院後経過】好酸球の増多(4.5%)を認め、メサラジンアレルギー・潰瘍性大腸炎急性増悪の双方が疑われ、アサコールRの内服中止及びPSL 30mg/日投与を開始したところ、臨床症状・炎症所見ともに改善したため第21病日に退院とした。外来でPSLを漸減中止したが再燃なく経過したため、2013年3月にペンタサRを1錠から開始したが、6錠へ漸増後に発熱、腹痛の増悪と好酸球の上昇を認めメサラジンアレルギーを疑い投与中止とした。中止後に潰瘍性大腸炎が再燃したため、アザチオプリン投与を開始し現在経過観察中である。【考察】本邦で4症例目となるSweet病に合併した潰瘍性大腸炎の1例を経験した。治療中にメサラジンアレルギーが判明し治療が困難であった。これまでの多くの報告例と同様に潰瘍性大腸炎が先行発症しており、その発症に何らかの免疫学的機序が関与していると考えられた。本邦での両者の合併の報告例は少ないが、Sweet病は本邦での発症例が欧米よりも多いことが知られている。このため本邦では、Sweet病に伴う潜在的な炎症性腸疾患の合併例が多いと考えられ、今後症例を集積し臨床病理学的検討を行っていくべきものと考えられた。
索引用語 潰瘍性大腸炎, Sweet病