セッション情報 | 研修医セッション(卒後2年迄) |
---|---|
タイトル | 85:急激な画像変化を来した原発性硬化性胆管炎の一例 |
演者 | 石川 将史(東京医科歯科大学 消化器内科) |
共同演者 | 宍戸 華子(東京医科歯科大学 消化器内科), 和田 祥城(東京医科歯科大学 消化器内科), 藤井 俊光(東京医科歯科大学 消化器内科), 大島 茂(東京医科歯科大学 消化器内科), 井津井 康浩(東京医科歯科大学 消化器内科), 中川 美奈(東京医科歯科大学 消化器内科), 岡本 隆一(東京医科歯科大学 消化器内科), 土屋 輝一郎(東京医科歯科大学 消化器内科), 柿沼 晴(東京医科歯科大学 消化器内科), 東 正新(東京医科歯科大学 消化器内科), 永石 宇司(東京医科歯科大学 消化器内科), 大岡 真也(東京医科歯科大学 消化器内科), 長堀 正和(東京医科歯科大学 消化器内科), 中村 哲也(東京医科歯科大学 消化器内科), 荒木 昭博(東京医科歯科大学 消化器内科), 大塚 和朗(東京医科歯科大学 消化器内科), 朝比奈 靖浩(東京医科歯科大学 消化器内科), 渡辺 守(東京医科歯科大学 消化器内科), 今田 安津子(東京医科歯科大学 病理部), 伊藤 崇(東京医科歯科大学 病理部) |
抄録 | 症例は25歳女性。特記すべき既往歴、家族歴はない。2008年(20歳時)、健康診断で肝機能障害を指摘され、掻痒感を自覚し、当科紹介受診した。飲酒歴はなく、身長152 cm、体重 58 kg(BMI 25.1 kg/m2)であり軽度肥満を認めた。血液検査では、T-Bil 0.8 mg/dL、AST 89 U/L、ALT 139 U/L、γ-GTP 569 U/L、ALP 1693 U/Lと胆道系酵素が優位に上昇していた。各種ウイルス感染症は否定的で、抗核抗体、抗平滑筋抗体、抗ミトコンドリアM2抗体は陰性、IgG、IgG4、IgMは正常であった。非アルコール性脂肪性肝疾患を疑い生活指導を行うとともに、UDCA、スタチン内服等、肝庇護療法を開始したが改善は認めなかった。2010年4月頃よりT-Bil 1.3 mg/dLと上昇を認めたため、同年9月に肝生検を施行したが、軽度の線維化を認めるのみで確定診断には至らなかった。その後、2012年1月に施行したMRI検査では肝実質に門脈域を中心とした結節状変化が出現し、急速な画像変化が認められたため、2012年8月、2度目の肝生検を行ったところ、門脈域、中心静脈域周囲で線維化の進行が見られたものの、この際にも特異的な所見は得られなかった。2013年3月には腹部超音波検査で、これまで見られなかった、肝全体のびまん性高エコー域が出現したため、3度目の肝生検を行った。Precirrhosisの状態に至っており、小葉間胆管の高度な消失が特徴的であり、原発性硬化性胆管炎を一番に疑うに至った。2013年7月、内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査を施行したところ、肝内胆管狭小化および造影される胆管の減少を認め、原発性硬化性胆管炎と診断した。本症例は急激に進行しており、早晩肝移植が必要となる可能性が考えられた。原発性硬化性胆管炎は2012年の全国調査データによれば、死亡あるいは移植をエンドポイントとした累積生存率において、3年生存率 77.3%、5年生存率 66.0%と低値であり、予後不良の疾患である。本症例は、急激な画像変化とともに病理組織変化を追跡し得た貴重な症例と考え報告する。 |
索引用語 | 原発性硬化性胆管炎, 画像 |