セッション情報 | 専修医セッション(卒後3-5年) |
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タイトル | 15:非代償性肝硬変に伴う難治性腹水に対しトルバプタンを用いた2症例 |
演者 | 金崎 峰雄(都立広尾病院 ) |
共同演者 | 城野 文武(都立広尾病院 ), 新倉 利啓(都立広尾病院 ), 加藤 孝征(都立広尾病院 ), 藤井 徹朗(都立広尾病院 ), 梅沢 翔太郎(都立広尾病院 ), 秋本 恵子(都立広尾病院 ), 北條 裕美子(都立広尾病院 ), 藤澤 信隆(都立広尾病院 ), 小山 茂(都立広尾病院 ) |
抄録 | 【演題名】非代償性肝硬変に伴う難治性腹水に対しトルバプタンを用いた2症例 症例1,79歳 女性 【主訴】腹部膨満感・下腿浮腫 【現病歴】近医でC型肝炎の診断で肝庇護療法を施行されていたが,2013年5月に腹部膨満感・下腿浮腫を認めたため当院紹介となった. 【経過】Child-Pugh 7点, Grade B.腹部エコーで腹水多量、肝表面粗造から肝硬変と診断. GFで食道静脈瘤はF1RC(-)と評価.腹水コントロール目的でフロセミド40mg・スピロノラクトン50mg開始するも腹水増加し,低Na血症も認めたため,第9病日からトルバプタン7.5mgを併用した.併用前の1日尿量が316-976mlに対し併用後では404-2399mlに増加し,併用後10日間で体重7.5kg減少した.血清Na値も改善認め全身状態安定し退院となった. 症例2,55歳 男性 【主訴】全身倦怠感 【現病歴】当院外来でC型肝硬変と診断,2013年4月に門脈血栓症で入院加療したが,5月下旬に全身倦怠感出現し,再度入院となった. 【経過】Child-Pugh 13点,Grade C.腹水コントロール目的でフロセミド40mg・スピロノラクトン50mg投与.入院時から脱水所見と低Na血症を示し,補正開始.腹水量は安定していたが第39病日から増加を認め,第40病日からトルバプタン7.5mgの併用開始した.第43病日にNa低下・腹水増加の継続を認めたため,15mgに増量したが,Cre上昇を認め1型肝腎症候群と診断し,トルバプタン内服中止.第48病日に死亡した. 【考察】トルバプタンはバソプレシンV2受容体拮抗剤であり,うっ血性心不全に加えて肝硬変に伴う腹水コントロールに対しても承認された.医学中央雑誌で“肝硬変”+“トルバプタン”で検索したところ報告は5件だった.症例1では腹水コントロールが得られたが,肝予備能のより低い症例2では効果に乏しかった.検索された症例報告の多くは,トルバプタン併用後2日目には体重減少を認めており,症例1も同様の結果を示している.しかし症例2では2日後も体重減少認めておらずその後増量しても効果は現れなかった.トルバプタンの効果は比較的早期に期待できるため,今後さらに知見の集積が望まれる. |
索引用語 | 肝硬変, トルバプタン |