セッション情報 研修医セッション(卒後2年迄)

タイトル 69:

多発肝腫瘤を合併した門脈下大静脈シャントに対しコイル塞栓術を施行しえた一例

演者 長谷川 宏子(自治医大 さいたま医療センター 消化器科)
共同演者 小林 瑠美子(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 浅野 岳晴(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 石井 剛弘(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 吉川 修平(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 大竹 はるか(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 上原 建志(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 新藤 雄司(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 山中 健一(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 池田 正俊(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 東海 浩一(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 牛丸 信也(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 松本 吏弘(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 福西 昌徳(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 岩城 孝明(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 鷺原 規喜(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 浅部 伸一(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 宮谷 博幸(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 吉田 行雄(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 濱本 耕平(自治医大 さいたま医療センター 放射線科), 松浦 克彦(自治医大 さいたま医療センター 放射線科)
抄録 【症例】47歳 女性 【主訴】なし(精査加療) 【現病歴】近医で子宮体癌を指摘され当院婦人科を紹介受診.術前CTで門脈下大静脈シャントおよび多発肝腫瘤が認められ,腫瘤は再生結節が疑われた.子宮全摘術後の2013年6月消化器科外来紹介.既往に心房細動あり,循環血流量増加による心機能増悪リスクや,シャントによる肝性脳症出現のリスクがあり,IVRを行う方針となり当科入院. 【既往歴】43歳 心房細動,甲状腺機能低下症,糖尿病 【生活歴】飲酒: ビール1L 喫煙:なし【来院時身体所見】心リズム不整 下腿浮腫が軽度 【入院時血液検査】PLT 26.9×104 /μl, Alb 3.3 g/dl, T-BIL 0.9 mg/dl, AST 67 IU/l, ALT 22 IU/l, LDH 353 IU/l, ALP 877 IU/l, γ-GTP 654 IU/l, NH4 93μg/dl 【腹部CT】門脈は肝門部でやや瘤化し下大静脈へのシャントが認められる.門脈圧亢進を示唆する所見なし.肝右葉を中心として動脈相~門脈相にかけて濃染する複数の結節を認め,再生結節疑い. 【入院後経過】血管造影を施行.肝内門脈は狭小化し肝内の造影効果は弱く,門脈血流の低下が示唆された.下大静脈の血液サンプリングでは,シャント部から頭側でアンモニア値のステップアップを認めた.バルーンカテーテルによるシャント部位の閉塞試験では,閉塞前の肝静脈楔入圧は正常範囲内,閉塞後も著明な上昇は認めず,シャント塞栓は可能と判断した.シャント部に連続する門脈瘤に対し,下大静脈側よりアプローチしコイル塞栓術を施行.塞栓後の造影検査ではシャント血流の消失と門脈血流の増加が見られ,アンモニア値の差の改善が認められた.また,塞栓前後の肝静脈楔入圧較差は3mmHgと軽度上昇にとどまった. 【結語】本症例では,門脈下大静脈シャントに対しコイル塞栓術が施行され,アンモニア値や肝内門脈血流の改善が認められた.術前に肝内門脈の血行動態や門脈圧などを十分評価しておくことで、門脈下大静脈シャントに対して安全にコイル塞栓を行いえた例を経験したので報告する.
索引用語 門脈下大静脈シャント, 肝再生結節