セッション情報 研修医セッション(卒後2年迄)

タイトル 61:

H.pylori除菌後に発症した特発性肉芽腫性胃炎の1例

演者 角 総一郎(茨城県立中央病院)
共同演者 今西 真実子(茨城県立中央病院), 大関 瑞治(茨城県立中央病院), 藤枝 真司(茨城県立中央病院), 五頭 三秀(茨城県立中央病院), 荒木 眞裕(茨城県立中央病院), 天貝 堅二(茨城県立中央病院), 斉藤 仁昭(茨城県立中央病院), 飯嶋 達生(茨城県立中央病院)
抄録 【はじめに】特発性肉芽腫性胃炎は、肉芽腫性変化を生じる胃疾患の中で、結核などの感染症、サルコイドーシス、クローン病等他疾患を除外することにより診断される疾患である。今回、我々はH.pylori除菌後に発症した特発性肉芽腫性胃炎の症例を経験したので報告する。【症例】40代女性【主訴】心窩部痛【現病歴】2012年11月8日、人間ドック受診した。血液検査でH.pylori抗体陽性、血清ペプシノゲン検査陽性であったため、精査加療目的に当院を受診した。健診時上部消化管造影検査で潰瘍は認められておらず、自費でのピロリ菌除菌の適応と考えられ、PPI+AMPC+CAM1週間投与による除菌治療を行った。約2ヶ月後、呼気尿素試験による除菌判定を行い、H.pylori陰性であり除菌成功と考えられた。除菌後胃痛、嘔気、嘔吐の訴えあり、精査目的に上部消化管内視鏡検査施行した。胃体部から胃角部にかけて不整な潰瘍を認め、生検を行ったところ、類上皮性肉芽腫を認めた。【検査所見】胸部CT検査では明らかなサルコイドーシスや結核を疑う所見は認められなかった。サルコイドーシス精査としてACE測定、眼科診察行うも明らかな異常所見はなかった。また結核精査としてクオンティフェロン検査、胃液培養を行うも陰性であった。その後クローン病精査のためCF施行するも異常所見なく否定的であった。【臨床経過】検査結果より肉芽種性変化をきたす他の胃疾患を否定し、特発性肉芽種性胃炎と診断した。PPI内服による治療で著明な症状なく現在まで経過している。【まとめ】特発性肉芽腫性胃炎はH.pyloriとの関連が示唆されており、その除菌により改善を認める症例が報告されている。一方、H.pyloriに感染していない例も報告されており、確立した治療法はない。当症例は除菌後に発症したまれな症例であったため、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 特発性肉芽腫性胃炎, H.pylori