セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 12:

非観血的用手整復で緊急手術を回避できた高齢の閉鎖孔ヘルニア嵌頓の1例

演者 田島 大樹(龍ケ崎済生会病院 消化器内科)
共同演者 村下 徹也(龍ケ崎済生会病院 消化器内科), 佐藤 巳喜夫(龍ケ崎済生会病院 消化器内科), 海老原 次男(龍ケ崎済生会病院 消化器内科)
抄録 【背景・目的】閉鎖孔ヘルニアは高齢女性に好発し腸閉塞の原因となる比較的まれな疾患で、治療は原則として診断時点での緊急開腹手術である。近年、非観血的用手整復により緊急手術を回避できた報告が散見される。今回我々は、閉鎖孔ヘルニア嵌頓により腸閉塞をきたした超高齢女性に対して患側肢の屈曲により改善が得られた1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。【症例】 90歳、女性。主訴は腹痛、嘔吐。就寝中に腹痛、嘔吐が出現したため当院救急外来受診した。腹部骨盤部CTで胃・小腸の著明な拡張、左外閉鎖筋恥骨筋間に嵌頓腸管を認め、左閉鎖孔ヘルニア嵌頓による腸閉塞と診断し、緊急入院となった。腸閉塞症状発症から7時間であり、CTで嵌頓腸管の壊死所見を認めないことから非観血的用手整復が可能と判断した。患側肢の屈曲により嵌頓腸管の還納が得られ、CTでも腸管嵌頓の解除が確認できた。その後、腸閉塞は速やかに改善し、第10病日に軽快退院した。【考察・結論】CTなどの画像診断の進歩により早期診断される閉鎖孔ヘルニア嵌頓症例は増加してきているが、依然として緊急開腹手術が標準治療とされている。多くの合併症を有する高齢者で非観血的用手整復により緊急手術を回避できるメリットは大きい。本症例もCTにより早期診断可能であり、非観血的用手整復により腸閉塞の改善を認めた。非観血的用手整復の適応時期については明確な基準はなく、発症時期やCT所見での腸管壊死の有無などから総合的に判断することが重要である。
索引用語 閉鎖孔ヘルニア, 非観血的用手整復