セッション情報 一般演題

タイトル 41:

細胆管細胞癌様組織像を含む原発性肝癌の検討

演者 高野 公徳(東京医科大学八王子医療センター 消化器外科・移植外科)
共同演者 河地 茂行(東京医科大学八王子医療センター 消化器外科・移植外科), 林 可奈子(東京医科大学八王子医療センター 消化器外科・移植外科), 沖原 正章(東京医科大学八王子医療センター 消化器外科・移植外科), 佐野 達(東京医科大学八王子医療センター 消化器外科・移植外科), 千葉 斉一(東京医科大学八王子医療センター 消化器外科・移植外科), 芹澤 博美(東京医科大学八王子医療センター 消化器外科・移植外科), 島津 元秀(東京医科大学八王子医療センター 消化器外科・移植外科)
抄録  細胆管細胞癌(CoCC)は原発性肝癌取扱い規約第5版において肝内胆管癌(CCC)の特殊型から独立し、「肉眼的にCCCに類似するが、約半数は慢性肝炎あるいは肝硬変を合併する。異型に乏しい小型、類円形の腫瘍細胞が、豊富な線維性間質を伴い、増生細胆管やHering管に類似する小管腔構造を示し、それらが互いに吻合するように増殖し、増殖先端部では腫瘍細胞は肝細胞索と連続している。CCCと異なり粘液産生を認めない。一部に肝細胞癌(HCC)あるいはCCC類似の組織像を伴うことが多い。ただし、現時点ではこのような所見があっても混合型肝癌としない。」と記載され、肝幹細胞(stem-cell)に由来する腫瘍とされ関心が高まっている。 当科で経験したCoCC様組織像を示した原発性肝癌は5例あり、これらについて病理組織学的所見および臨床像を検討した。症例1:67歳女性。AFP高値。CoCC様成分を含む混合型肝癌の診断。術後6か月で再発、59か月で死亡された。症例2:62歳男性。腫瘍マーカーは術前いずれも正常であったが術後再発時はCA19-9が高値であった。CoCC様成分を含むCCCの診断。術後16か月で再発、56か月で死亡された。症例3:64歳女性。CA19-9高値。CoCCの診断。術後23か月無再発生存中。症例4:53歳男性。CoCCの診断。CA19-9陽性。術後20か月無再発生存中。症例5:80歳女性。AFP陽性。CoCC様成分を含むCCCの診断。術後7か月無再発生存中。これら5例に共通したCoCC様の病理組織学的所見は、程度の差はあるものの、小型の腫瘍細胞が小管腔構造を示している点と、増殖先端部で肝細胞索と連続している点、HCC成分とCCC成分が混在している点がみられ、CK7/19、CD10、CD56、EMAなどいわゆるstem-cell featuresの免疫染色においてもCoCCに矛盾しない結果が得られた。 CoCCの病理診断については、典型的なCoCCが優位な所見を示す例に限るべきか、類似の所見を示すCCCも含めるべきかが診断上問題である。CCC、HCC、CoCCの中間的性格を持つ肝腫瘍の一群を理解するうえで、類似の症例を蓄積し、画像所見・病理組織学的所見・治療成績などを検討することが重要と考えられた。
索引用語 細胆管細胞癌, 胆管細胞癌