セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 44:肝硬変を合併した原発性高蓚酸尿症1型の一例 |
演者 | 宮方 千春(東京女子医科大学病院 消化器内科) |
共同演者 | 小木曽 智美(東京女子医科大学病院 消化器内科), 沖津 篤(東京女子医科大学病院 消化器内科), 小林 睦季(東京女子医科大学病院 消化器内科), 門前 正憲(東京女子医科大学病院 消化器内科), 石川 一郎(東京女子医科大学病院 消化器内科), 児玉 和久(東京女子医科大学病院 消化器内科), 戸張 真紀(東京女子医科大学病院 消化器内科), 谷合 麻紀子(東京女子医科大学病院 消化器内科), 鳥居 信之(東京女子医科大学病院 消化器内科), 徳重 克年(東京女子医科大学病院 消化器内科), 橋本 悦子(東京女子医科大学病院 消化器内科), 白鳥 敬子(東京女子医科大学病院 消化器内科), 永田 仁夫(浜松医科大学医学部附属病院 泌尿器科) |
抄録 | 原発性高蓚酸尿症1型は、肝臓のペルオキシソームに特異的に存在するアラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼの機能異常によるグリオキシル酸代謝異常症の一つである。蓚酸の過剰産生を特徴とする常染色体劣性遺伝疾患であり、通常、肝臓は一つの酵素欠損を認めるのみで他の機能は正常とされる。今回我々は原発性高蓚酸尿症1型に肝硬変を合併した一例を経験したので報告する。【症例】28歳、女性【主訴】嘔気【既往歴】14歳 左頚部腫瘍摘出術。17歳 尿路結石。24歳 経尿道的尿路結石破砕術。【家族歴】尿路結石の家族歴なし。【現病歴】17歳頃より頻回の尿路結石発作にて治療を繰り返していた。27歳頃より全身倦怠感・嘔気が出現し、近医を受診した際に施行した血液検査で、Cr 18 mg/dlと上昇を認めた。腎不全の原因については、頻回の尿路結石の既往及び血中の蓚酸値が高値であることより、原発性高蓚酸尿症が疑われ、透析導入された。腹腔鏡下肝生検を施行し、肝臓のアラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性が低下しており、原発性高蓚酸尿症1型と診断された。また肝病理組織で肝硬変を認めた。根本的な治療は肝腎移植のため、肝移植検討目的に同年当科入院となった。【入院後経過】血液検査では、PLT 10.1x104/mm3、PT 87.0 %、Alb 4.1 g/dl、AST 17 U/l、ALT 11 IU/l、T-Bil 0.5 mg/dl、NH3 34 μg/dlであり、肝機能はchild pugh分類6点grade A、Liver damage Aで、MELD scoreは20点であった。画像上脾腫と腎臓の高度石灰化を認めた。肝硬変の原因は、ウイルス・アルコール・薬剤・自己免疫疾患は否定的で原因不明であった。母をドナーに生体部分肝移植を施行した。【考察】原発性高蓚酸尿症1型に肝硬変を合併した稀な一例を経験した。通常肝臓は酵素欠損を認めるが、肝機能・予備能は正常と報告されており、肝硬変の原因に関しては更に検討する必要がある。 |
索引用語 | 原発性高蓚酸尿症1型, 肝硬変 |