セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 42:巨大多発肝細胞癌に対してTACE併用ソラフェニブが奏功した一例 |
演者 | 畑中 健(伊勢崎市民病院 内科) |
共同演者 | 柿崎 暁(群馬大学大学院病態制御内科学), 鈴木 悠平(伊勢崎市民病院 内科), 新井 洋祐(伊勢崎市民病院 内科), 嶋田 靖(伊勢崎市民病院 内科), 滝澤 大地(伊勢崎市民病院 内科), 片貝 堅志(片貝クリニック) |
抄録 | 【症例】77歳男性【主訴】体重減少【現病歴】糖尿病、高血圧で近医通院中。血糖コントロールが良好であったが、1年半で8kgの体重減少を認め、腹部CTにて肝腫瘍を指摘され当科紹介受診。【飲酒歴】焼酎3合を毎日50年の大酒家【検査所見】T.bil 0.9mg/dl、AST 49IU/l、ALT 42IU/l、ALP 1086 IU/l、γ-GTP 1371 IU/l、TP 7.9g/dl、Alb 3.9g/dl、BS 275mg/dl、HbA1c6.9%、WBC 4500/μl、Hb 16.5g/dl、Plt 16.5万/μl、PT 128%、AFP 76952ng/ml、PIVKA-2 11744mAU/ml、HBs-Ag、HBs-Ab、HBc-Abいずれも陰性、HCV-Ab陰性。肝腫瘍マーカーの著明な上昇を認め、Child-Pugh gradeA score5と肝機能良好であった。肝ダイナミックCTでは、動脈相でモザイク状に濃染し、平衡相でwash outする最大径10cmの腫瘍が肝両葉に多発していた。胸部CTでは、1cm大のHCC転移巣を認めた。画像所見および肝腫瘍マーカーから、アルコール性肝硬変による巨大HCC(T3N0M1stage4B)と診断した。肝内病巣が予後を規定すると判断し、ソラフェニブを内服の上TACEを分割で行う方針とした。TACE前後はソラフェニブを4~7日間休薬を行い、TACEを2~4ヶ月毎に計5回施行した。ソラフェニブによる大きな副作用なく800mg内服を継続でき、またTACEも安全に施行できた。初回治療後17ヶ月に他病死するまで、HCCは良好にコントロールされていた。【考察】10cmの巨大肝癌に対して一期的にTACEを行うと、発熱や腫瘍壊死部の感染、腫瘍崩壊症候群のリスクが高く、そのリスクを減らすため分割TACEが望ましい。また、TACE併用ソラフェニブでは、従来のTACE単独と比較して良好な治療効果と予後が報告されている。本症例では、Child Aと肝機能良好のためTACE併用ソラフェニブを行うことにより腫瘍が著明に縮小し、また分割TACEで安全に治療を行えた。【結語】TACE併用ソラフェニブは有効な治療法の可能性がある。 |
索引用語 | 肝細胞癌, TACE |