セッション情報 | 研修医セッション(卒後2年迄) |
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タイトル | 67:B-RTO後に難治性の門脈血栓が消失して肝細胞癌に対するTACE治療が可能になったアルコール性肝硬変の1例 |
演者 | 貫井 麻未(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科) |
共同演者 | 中山 伸朗(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 印藤 佳織(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 宇治 亮介(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 繁田 貴博(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 塩川 慶典(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 内田 義人(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 藤井 庸平(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 平原 和紀(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 打矢 紘(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 中澤 学(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 近山 琢(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 安藤 さつき(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 菅原 通子(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 濱岡 和宏(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 中尾 将光(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 本谷 大介(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 稲生 実枝(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 今井 幸紀(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 岡 政志(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 持田 智(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科) |
抄録 | 60歳,男。15歳頃から焼酎1.8 L/日を飲酒している大酒家で,45歳時に腹痛を生じ,急性膵炎を併発したアルコール性肝硬変と診断された。慢性腎不全も合併しており,50歳で腎代替療法が導入された。52歳より肝性脳症で入退院を繰り返すようになった。門脈右枝が血栓で完全に閉塞しており,ダナパロイドによる溶解療法を実施したが無効で,高アンモニア血症のコントロールは不良であった。腹部CTでは肝右葉に10~15 mmの多血性肝細胞癌が複数認められた 血清アルブミン2.3 g/dL,AST 28 IU/L,ALT 16 IU/L,血清総ビリルビン 1.3 mg/dL,プロトロンビン時間59%,CRP 0.11 mg/dL。Child-Pughスコア9点。著明に発達した脾腎シャントを認め,まず,これに対して5%EO 19 mLによるB-RTOを施行した。1ヶ月後のCTではシャント内に血流が残存するため, B-RTOを再度試行した。5% EOを28 mL注入し,バルーンを24時間留置したが,血栓形成が不十分で,更に17 mLを追加注入して,その24時間にカテーテルを抜去した。2回の治療でシャント内には血栓形成が認められ,血流は消失していた。高アンモニア血症は改善し,肝性脳症は見られなくなった。プロトロンビン時間76%,Child-Pughスコアは8点に改善し,肝動脈造影検査を施行したところ,門脈右枝の血栓は消失しており,肝細胞癌に対してTACEを実施できた。 本症例ではB-RTOによって門脈血流量を増加させることで,難治性の門脈血栓症は消失し,肝予備能の改善後には肝細胞癌に対する治療が可能になった。B-RTOの適応を考慮する際に貴重な症例と考えて報告する。 |
索引用語 | B-RTO, 門脈血栓症 |