セッション情報 | 専修医セッション(卒後3-5年) |
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タイトル | 36:診断に苦慮したAFP産生大腸癌肝転移の一切除例 |
演者 | 石丸 和寛(東京大学 医学部 附属病院 肝胆膵外科・人工臓器移植外科) |
共同演者 | 冲永 裕子(東京大学 医学部 附属病院 肝胆膵外科・人工臓器移植外科), 進藤 潤一(東京大学 医学部 附属病院 肝胆膵外科・人工臓器移植外科), 久富 伸哉(東京大学 医学部 附属病院 肝胆膵外科・人工臓器移植外科), 石沢 武彰(東京大学 医学部 附属病院 肝胆膵外科・人工臓器移植外科), 金子 順一(東京大学 医学部 附属病院 肝胆膵外科・人工臓器移植外科), 青木 琢(東京大学 医学部 附属病院 肝胆膵外科・人工臓器移植外科), 長谷川 潔(東京大学 医学部 附属病院 肝胆膵外科・人工臓器移植外科), 菅原 寧彦(東京大学 医学部 附属病院 肝胆膵外科・人工臓器移植外科), 阪本 良弘(東京大学 医学部 附属病院 肝胆膵外科・人工臓器移植外科), 国土 典宏(東京大学 医学部 附属病院 肝胆膵外科・人工臓器移植外科), 牛久 哲男(東京大学 医学部 附属病院 病理診断科) |
抄録 | 症例は66歳男性で血便を主訴に近医を受診した。下部内視鏡検査では直腸Rbにtype2病変を認め、adenocarcinomaが検出された。当院大腸肛門外科に紹介され、UFTを用いた術前化学放射線療法後に超低位前方切除が施行された。病理学的には中分化から低分化型管状腺癌を認め、AN0M0, Stage IIであった。術後にUFTを用いた補助化学療法を行ったが、半年後のCT検査では肝内に5か所の最大径42mmの再発を認めた。腫瘍マーカーはCEA, CA19-9は正常範囲内だが、AFP 1745ng/ml, PIVKA-II 18mAU/mlとAFPの異常高値を認めた。造影CT検査では早期層、平衡層共に造影効果が弱い乏血性結節で、転移性肝癌に矛盾しない所見であったが、EOB-MRIでは腫瘍内部に脂肪成分を含有し、肝細胞癌が疑われた。また、原発の直腸癌の免疫染色ではAFPは陰性であった。肝炎やアルコール多飲歴などの背景肝疾患はなく、これまでの経過や画像所見を総合してから直腸癌異時性肝転移と診断して肝切除術を施行した。結節はいずれも硬く触知した。術中造影超音波検査では血管相で最大腫瘍にはわずかな造影効果を認め、いずれの腫瘍もKupffer相で低エコー域として描出された。病理組織学的にはいずれの肝腫瘍も中分化型腺癌であり、免疫染色ではAFPの産生を認めた。そこで再度原発巣の免疫染色を行ったところ腫瘍の一部でAFPの弱陽性像が認められたことから、最終的にAFP産生直腸癌の肝転移と診断した。AFP産生大腸癌は比較的稀な疾患あり、文献的考察を交えて報告する。 |
索引用語 | AFP産生大腸癌, 肝転移 |