セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 18:

若年男性に発症したalcoholic foamy degenerationの一例

演者 矢内 真人(公立昭和病院)
共同演者 平昭 衣梨(公立昭和病院), 大野 一将(公立昭和病院), 永田 紘子(公立昭和病院), 山地 統(公立昭和病院), 浦牛原 幸治(公立昭和病院), 小野 圭一(公立昭和病院), 小島 茂(公立昭和病院), 野内 俊彦(公立昭和病院), 太田 博崇(公立昭和病院 内視鏡科), 武田 雄一(公立昭和病院 内視鏡科), 清水 誠一郎(公立昭和病院 病理診断科), 渡辺 守(東京医科歯科大学 消化器内科)
抄録 症例は24歳男性。大酒家であり1年前にもアルコール性肝障害のため入院しT-Bil 5.7 mg/dl、AST 678 U/L、ALT 1,507 U/L、γGTP 295 U/LとAST/ALTの高値を認めたが速やかに軽快退院した。その後も飲酒を継続したところ嘔気と高度の肝障害を認めたため再入院となった。入院時身長178cm、体重89.5kg、体温37.1℃、肝脾腫なく、血液検査でT-Bil 5.7 mg/dl、AST 8,297 U/L、ALT 6,489 U/L、γGTP 438 U/L、PT 61% 、WBC 7,170 /μlとAST/ALTの著明な高値を認めた。IgM-HAV-Ab、IgM-HBc-Ab、HCV-Ab、IgM-HSV-Ab、EBV-VCA-IgM-Ab 陰性とウイルス性肝炎の合併は否定的で、抗核抗体 40倍、IgG 1,111 mg/dlと典型的なAIHを示唆する所見もなかった。腹部エコー、CTでは脂肪肝を認めるのみで、第7病日にはAST 92 U/L、ALT 906 U/Lと速やかな改善を認めた。第9病日に肝生検を施行し、中心静脈周囲に小滴性脂肪滴で腫大し核の偏在のないfoamy degenerationを呈した肝細胞と軽度のpericellular fibrosisを認めalcoholic foamy degeneration (AFD)と診断した。アルコール性肝障害ではAST/ALTの上昇は軽度か中等度であることが多いが、AFDでは著明な高値を示し禁酒後急速に低下する。高度の肝障害を認めた場合でも、AFDの可能性を考慮し過剰な診療を行わないように注意する必要があると考えられた。
索引用語 foamy degeneration, AFD