セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 22:

画像検査で指摘しえなかった肺小細胞癌びまん性肝転移の1例

演者 木平 英里(国立国際医療研究センター)
共同演者 城間 翔(国立国際医療研究センター), 張 萌琳(国立国際医療研究センター), 畑 昌宏(国立国際医療研究センター), 久田 裕也(国立国際医療研究センター), 守安 詩織(国立国際医療研究センター), 三島 沙織(国立国際医療研究センター), 三神 信太郎(国立国際医療研究センター), 野崎 雄一(国立国際医療研究センター), 小島 康志(国立国際医療研究センター), 柳瀬 幹雄(国立国際医療研究センター)
抄録 63才男性。201X年7月上旬より全身倦怠感と5kgの体重減少を認めた。7月中旬に血痰が出現し、近医を受診したところ、肝酵素の上昇と血小板数の低下を指摘された。CT検査で右肺、左腎および左副腎に結節を指摘され、肺癌の多臓器転移と薬剤性肝障害が疑われ、7月下旬に当院呼吸器内科へ転院となった。画像所見や腫瘍マーカーより肺小細胞癌を疑い、第2病日に気管支鏡下縦隔リンパ節生検を行い、病理所見より肺小細胞癌T1aN1M1b StageIVと診断した。著明な黄疸が出現していたが、腹部超音波検査やCT検査では慢性肝疾患や肝占拠性病変は指摘できず、胆管拡張も明らかでなかった。CBDCA+VP-16による化学療法を検討したが、この時点でT.B:9.8 mg/dl、AST:102 U/L、ALT:88 U/L、PT:74.7%、血小板4.2万/μLと著しい黄疸を伴う肝機能障害を認めていた。いずれの画像検査でも、これらの血液検査値に合致する異常は指摘されておらず、原因精査のため背景肝生検を行う方針となった。出血リスクが高いと考えられたため、経静脈的肝生検を第8病日に施行したところ、採取した検体より広汎に小細胞癌が認められた。免疫染色により肝臓と縦隔リンパ節から得た検体を評価し、肺小細胞癌びまん性肝転移と診断した。しかし、その後も全身状態は悪化し続け、積極的な治療が行えないまま、第13病日に永眠された。
【まとめ】肺小細胞癌が肝臓に転移することは稀で、なかでもびまん性転移の報告例は極めて少ない。本症例は画像や気管支鏡下縦隔リンパ節生検により肺小細胞癌と診断されたが、著しい黄疸の原因となる肝転移などの所見は、いずれの検査でも指摘されなかった。画像検査で指摘が困難だった肝転移を伴う一例で、これに文献的考察を加えて発表する。
索引用語 肺小細胞癌びまん性肝転移, 頸静脈的肝生検