セッション情報 研修医セッション(卒後2年迄)

タイトル 70:

経皮的ドレナージ及び薬剤注入で退縮を得た巨大感染性肝嚢胞の一例

演者 大澤 翔(桐生厚生総合病院 内科)
共同演者 竝川 昌司(桐生厚生総合病院 内科), 新井 洋介(桐生厚生総合病院 内科), 飯塚 圭介(桐生厚生総合病院 内科), 山田 俊哉(桐生厚生総合病院 内科), 古谷 健介(桐生厚生総合病院 内科), 野中 真知(桐生厚生総合病院 内科), 飯田 智広(桐生厚生総合病院 内科), 佐藤 賢(群馬大学大学院医学系研究科 病態制御内科学), 柿崎 暁(群馬大学大学院医学系研究科 病態制御内科学), 丸田 栄(桐生厚生総合病院 内科), 山田 正信(群馬大学大学院医学系研究科 病態制御内科学)
抄録 【背景】肝嚢胞は良性疾患であり,多くの場合,治療は不要である.しかし有症状例では治療の適応となり,巨大肝嚢胞や嚢胞感染例で外科的治療が必要となることもある.今回,巨大肝嚢胞に感染を合併した症例に経皮的ドレナージ及び薬剤注入を行い,嚢胞の退縮を得られたため報告する.
【症例】60歳代女性
【現病歴】数か月前より背部痛を自覚,5日前から食思不振や全身倦怠感が悪化,発熱もみられた.近医にて肝嚢胞を指摘され,当科紹介受診となった.
【入院時現症】体温36.2℃.心窩部に自発痛及び圧痛あり.
【入院時検査所見】WBC 9900/μl, T-bil 1.3mg/dl, AST 16U/l, ALT 27U/l, ALP 298U/l, GGT 46U/l, CRP 35.75mg/dl.腹部CTで肝S4を主座とした最大径20cm程の嚢胞性病変あり.
【第1回入院後経過】肝嚢胞を穿刺したところ1000mlの茶褐色混濁液の排出あり.抗生剤全身投与を開始した.嚢胞液培養の結果,Enterobacter cloacaeが検出された.入院第13日の腹部CTで嚢胞はやや増大しており,肝嚢胞を再度穿刺しドレーンを留置した.排液量は1日500mlから徐々に減少した.自覚症状が改善し,感染のコントロールがついたため,入院第21日に嚢胞内にミノマイシン500mgを注入した.入院第23日にもミノマイシンを注入し,ドレーンを抜去した.入院第26日のCTでは肝嚢胞径は10cmであった.外来にて経過観察する方針となり,入院第30日に退院.しかしその後,嚢胞の増大傾向を認め,退院から2か月で再入院となった.
【第2回入院後経過】肝嚢胞を穿刺しドレーンを留置,黄白色の液体を1150ml排出し,純エタノールを50ml注入した.排液から異型細胞や細菌は同定されなかった.排液量は1日175mlから徐々に減少した.入院第16日にも純エタノールを注入し,ドレーンを抜去した.全身状態良好のまま入院第17日に退院.退院後,嚢胞は退縮傾向にある.
【結語】経皮的ドレナージ及び薬剤注入で退縮を得た巨大感染性肝嚢胞の一例を経験した.若干の文献的考察を含め報告する.
索引用語 肝嚢胞, 感染