セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 19:

抗てんかん薬の変更を契機に発症したDIHS(薬剤性過敏症症候群)の一例

演者 門馬 匡邦(東京医科大学 茨城医療センター 内科(消化器))
共同演者 屋良 昭一郎(東京医科大学 茨城医療センター 内科(消化器)), 池上 正(東京医科大学 茨城医療センター 内科(消化器)), 平山 剛(東京医科大学 茨城医療センター 内科(消化器)), 小西 直樹(東京医科大学 茨城医療センター 内科(消化器)), 村上 昌(東京医科大学 茨城医療センター 内科(消化器)), 岩本 淳一(東京医科大学 茨城医療センター 内科(消化器)), 齋藤 吉史(東京医科大学 茨城医療センター 内科(消化器)), 本多 彰(東京医科大学 茨城医療センター 内科(消化器)), 大井 綱男(東京医科大学 茨城医療センター 皮膚科), 松崎 靖司(東京医科大学 茨城医療センター 内科(消化器))
抄録 【症例】68歳男性。2週間前から食欲低下と全身倦怠感が出現し、発熱を伴うようになったため救急外来を受診した。黄疸と肝胆道系酵素の上昇があり、精査目的で入院となった。【既往歴】23年前にくも膜下出血の既往有り、その後右不完全片麻痺の残存あるも自宅で生活を続けていた。症候性てんかんの予防のためにフェニトインを長期にわたり脳神経外科から処方されていたが、主治医変更に伴って、入院の約2ヶ月前にゾニサミドへ変更がなされた。【入院時現症】38℃の発熱と眼球結膜の黄疸を認めた。【入院時検査所見】CRPと肝胆道系酵素の上昇を認めた。【入院時画像所見】US、MRCPとも胆道系に結石や拡張像は認めなかった。【入院後経過】発熱、炎症反応の増加などから当初は胆管炎を疑い抗生剤投与を開始したが、入院第3病日に全身のびまん性紅斑及び頸部リンパ節腫脹が出現し、好酸球、異型リンパ球の上昇が認められたため抗生剤を中止とした。抗生剤中止後も発疹の改善は見られず、この段階で抗てんかん薬の変更に気づき、DIHSを強く疑った。皮膚生検、肝生検の後にステロイド(プレドニゾロン60mg/day)を導入。皮疹、肝障害の改善を見た。【病理所見】紅斑部の生検像では表皮真皮境界部障害による水疱性病変があり、リンパ球、好酸球の浸潤がみられた。肝生検ではA2/F3相当の活動性、進行性の慢性肝炎所見と中等度の胆管炎所見、多数の好中球、好酸球の浸潤所見と多彩な組織像がみられた。【考察】DIHSは薬物によりHHV(human herpesvirus)6型の再活性化、時にHHV-7、サイトメガロウイルスの再活性化が惹起され、肝障害や皮膚病変のほか、リンパ節腫脹や発熱などの全身症状を特徴とする。本症例では抗てんかん薬の変更に気がついたことが診断の端緒となっており、病歴、薬剤歴の聴取の重要性を認識した。
索引用語 薬剤性過敏症症候群, 抗てんかん薬