セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 26:

脾膿瘍を契機に発見された膵尾部癌の1例

演者 若林 大雅(日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科)
共同演者 金子 恵子(日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科), 橋本 知実(日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科), 馬來 康太郎(日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科), 松下 洋子(日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科), 福田 健(日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科), 川本 智章(日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科), 坂本 長逸(日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科), 三樹 いずみ(日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科), 安井 大祐(日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科), 嶺 貴彦(日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科), 小野澤 志郎(日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科), 村田 智(日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科), 汲田 伸一郎(日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科), 増田 寛喜(日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科), 高田 英志(日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科), 上田 純志(日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科), 清水 哲也(日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科), 吉岡 正人(日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科), 谷合 信彦(日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科), 内田 英二(日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科)
抄録 今回我々は門脈血栓及び脾膿瘍、脾梗塞にて転院し、IVRにて門脈血栓除去を施行するも無効であり、脾膿瘍に対して手術を施行。病理所見にて膵癌が判明した1例を経験したので報告する。症例は68歳男性、主訴は腹痛、発熱。現病歴は平成25年6月下旬より左側腹部痛を自覚し、前医を受診。腹部CTにて脾膿瘍と脾静脈から門脈本幹にかけての血栓を認め、血栓溶解、吸引目的にて当院に転院となった。まず第2病日にIVR施行し、門脈の血栓溶解術を開始した。しかし第3病日の造影CTにて門脈血栓の改善が乏しかった。原病の脾膿瘍に対して脾臓摘出と膵体尾部切除、術中門脈内血栓除去を行う方針として第5病日に手術を施行した。術中透視下脾静脈にシースを挿入し、門脈内血栓溶解を施行した。術後にIVRを数回施行したが、門脈及び上腸間膜静脈、脾静脈の血栓は改善を認めなかった。術後に胃周囲の横隔膜下膿瘍が認められ、これに対してEUS-FNAを用いてドレナージを施行。また病理にて膵癌(Anaplastic carcinoma)と判明。前医にて化学療法を行う目的にて第26病日に前医へ転院となった。Anaplastic carcinomaは腹部CTではCystic componentを伴う画像を呈し、腫瘍辺縁に造影効果を認める。血液検査では腫瘍マーカーは正常か軽度上昇にとどまり、炎症反応が高値となることが多い。病理所見では異型性の強い核を有する多様な形態の腫瘍細胞を認め、結合は粗であることが多いため、細胞接着性が低下し、膨張性進展や早期の脈管転移を来すと考えられている。通常型膵管癌と比較し急速に進行し予後不良である。今回我々は術前に悪性と判断は出来なかった。門脈血栓溶解療法が無効であったことは、悪性腫瘍の影響が少なからずあると考えられた。脾梗塞や脾膿瘍を来した症例に対して、膵癌など悪性疾患も考慮して治療にあたるべきと考えられた。
索引用語 膵癌, 脾膿瘍