セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 32:

線維性組織球腫術後28年に小腸GIST、上行結腸脂肪肉腫を併発した1例

演者 雨宮 浩太(順天堂大学医学部附属練馬病院 総合外科)
共同演者 藤田 翔平(順天堂大学医学部附属練馬病院 総合外科), 川野 文裕(順天堂大学医学部附属練馬病院 総合外科), 塚本 亮一(順天堂大学医学部附属練馬病院 総合外科), 小笠原 加奈(順天堂大学医学部附属練馬病院 総合外科), 朝倉 孝延(順天堂大学医学部附属練馬病院 総合外科), 大森 聡(順天堂大学医学部附属練馬病院 総合外科), 宮野 省三(順天堂大学医学部附属練馬病院 総合外科), 小坂 泰二郎(順天堂大学医学部附属練馬病院 総合外科), 渡野邉 郁雄(順天堂大学医学部附属練馬病院 総合外科), 町田 理夫(順天堂大学医学部附属練馬病院 総合外科), 北畠 俊顕(順天堂大学医学部附属練馬病院 総合外科), 児島 邦明(順天堂大学医学部附属練馬病院 総合外科), 坂口 亜寿美(順天堂大学医学部附属練馬病院 病理診断科), 小倉 加奈子(順天堂大学医学部附属練馬病院 病理診断科), 松本 俊治(順天堂大学医学部附属練馬病院 病理診断科)
抄録 症例は69歳、男性。主訴:動悸。現病歴:2013年7月初旬に動悸を主訴に近医を受診。Hb:4.6と貧血を指摘され緊急入院。造影CTにて左上腹部に腫瘤を指摘、線維性組織球腫再発を疑われ当院へ手術目的に紹介受診。既往歴:28年前に線維性組織球腫摘出術、5年前に脳梗塞。現症:左上腹部にテニスボール大のやや硬い可動性不良の腫瘤を触れる。入院時血算生化学所見では軽度の貧血を認めるのみで腫瘍マーカーなどの上昇は認めなかった。腹部USでは上腹部に108×60×73mmの辺縁明瞭な内部に充実性と漿液性部分が混在する腫瘤を認めた。PET CTでは、左上腹部、上行結腸に集積を認めた。造影CTでは左上腹部に辺縁平滑な腫瘤を認め、内部が不均一に造影される充実性分と造影されない嚢胞性分が混在していた。またPET CTで集積を認めた部位に一致し径40mmの不均一に造影される腫瘤が内腔に突出し上行結腸癌が疑われた。同腫瘤の肛門側に脂肪濃度を示す腫瘤があり脂肪腫が疑われた。術前精査の下部消化管内視鏡施行時にType1の隆起性病変を認め、病理で低分化の粘膜癌の診断となった。上部消化管内視鏡検査では、異常所見は認めなかった。注腸検査では上行結腸に台形状変形を伴う腫瘤を認めた。以上の所見より、線維性組織球腫の再発疑い、上行結腸癌併発と診断し腫瘤摘出術、結腸切除術を施行。手術所見は腹水貯留や明らかな肝転移、腹膜播種はなく脾弯曲の腹側尾側に腫瘤を認め周囲の空腸が巻きつくように癒着し一塊となっていた。剥離が困難であり空腸の一部と合併切除した。上行結腸癌は右半結腸切除術を施行した。術後の病理所見では再発を疑われた腫瘤はGISTで上行結腸癌と考えられた腫瘤は脂肪肉腫の診断となった。術後イレウスを認めたが徐々に改善を認めPOD28で退院となった。今回線維性組織球腫の再発と考えられた腫瘤が小腸GISTであり、また腸管内から発生した脂肪肉腫という希少な1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 小腸GIST, 脂肪肉腫