セッション情報 |
専修医セッション(卒後3-5年)
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タイトル |
30:憩室炎による大腸狭窄に対し経肛門的イレウス管を挿入しS状結腸穿孔を来した一例
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演者 |
鈴木 桂悟(国立国際医療研究センター国府台病院) |
共同演者 |
青木 洋一郎(国立国際医療研究センター国府台病院), 大久保 恒希(国立国際医療研究センター国府台病院), 茶谷 成(国立国際医療研究センター国府台病院), 矢田 智之(国立国際医療研究センター国府台病院), 小飯塚 仁彦(国立国際医療研究センター国府台病院) |
抄録 |
【はじめに】腫瘍による大腸狭窄が原因の大腸イレウスには経鼻的イレウス管では減圧が不十分なことがあり,経肛門的イレウス管が有効とされるが,留置後に腸穿孔の危険性が伴う.今回,経肛門的イレウス管を留置しS状結腸穿孔を来した症例を経験したため文献的考察を加えて報告する.【症例】51歳男性.45歳時に下部消化管内視鏡で憩室症を指摘され以後経過観察されていた.X年10月より便秘を自覚し,11月末から排便が無くなったため近医を受診した.浣腸を行ったが排便は無く,頻回の嘔吐が出現した.12月2日に他院を受診し,CTの所見よりS状結腸閉塞と診断されたが入院を拒否し帰宅した.その後も症状が改善せず12月3日に当院を受診し,大腸イレウスの診断で入院した.CTにてS状結腸に狭窄を認め,腫瘍性狭窄を疑う所見であった.しかしS状結腸内視鏡では狭窄部は通過可能であり,可視範囲内に明らかな腫瘍性病変を認めなかった.憩室の癒着による良性狭窄を疑い緊急減圧の適応と判断し,経肛門的イレウス管を挿入し持続吸引による減圧を行った.しかし第7病日より腹痛と腹満感が再度増悪し,血液検査にて炎症反応の上昇を認めた.第9病日にCTを撮影したところイレウス管の先端がS状結腸の壁外へ逸脱している所見を認め,S状結腸穿孔と診断し外科へコンサルトし緊急手術の方針とした.直ちに高位前方切除術を施行し,術中所見にてイレウス管が大腸憩室を貫いて腹腔内に突出していることが確認された.【考察】イレウス管が腸穿孔を来した報告は多数あり,腸穿孔の危険性は約10%と言われる.大腸仮性憩室は通常粘膜と比較して脆弱であり,更に本症例では狭窄部周囲の強い炎症性変化があり穿孔に至ったと考えられた.憩室炎による大腸狭窄症例で経肛門的イレウス管を挿入する際は通常よりも更に穿孔の所見に留意しながら対応する必要があると考える.【結語】今回非腫瘍性の大腸狭窄による大腸イレウスに対して経肛門的にイレウス管を挿入しS状結腸の憩室より腸穿孔を来した症例を経験した. |
索引用語 |
経肛門的イレウス管, 腸穿孔 |