セッション情報 一般演題

タイトル 37:

無水エタノール注入により改善した腹腔鏡下胆嚢摘出後の離断型胆汁瘻の1例

演者 奈良橋 喜芳(新座志木中央総合病院 外科)
共同演者 新戸 禎哲(新座志木中央総合病院 内科), 谷島 義章(新座志木中央総合病院 外科), 吉野 美幸(新座志木中央総合病院 外科), 古市 好宏(新座志木中央総合病院 内科), 澤田 孝繁(新座志木中央総合病院 内科), 岡田 了祐(新座志木中央総合病院 外科), 長嶋 隆(新座志木中央総合病院 外科), 西田 二郎(新座志木中央総合病院 外科), 松浦 直孝(新座志木中央総合病院 内科), 佐藤 滋(新座志木中央総合病院 外科), 吉田 紘一(新座志木中央総合病院 外科), 大坪 毅人(聖マリアンナ医科大学 消化器・一般外科)
抄録 症例は78歳, 男性. 胸背部痛で当院受診, 無石胆嚢炎の診断で入院歴があり再燃にて緊急入院. 画像上は胆嚢壁肥厚と胆嚢緊満を認めるも, 明らかな結石は認めなかった. 内視鏡的経鼻胆嚢ドレナージ(以下ENGBD)で症状軽快, ENGBD挿入時の胆管造影では右肝管前区域枝が総胆管より造影されていた. 症状軽快したが再燃のため手術となった. 手術ではCarot三角部は慢性炎症により線維化が高度であった. 胆嚢床右側を剥離中に微量の胆汁が流出したが速やかに停止し手術を続行, 胆嚢を摘出した. 肝床部を止血洗浄中に再度の胆汁漏出ありクリッピングで改善した. 術後2日目にドレーンより200ml/dayの胆汁漏出を認め, 禁食で経過観察も排液量に変化なく, 術後6日目に内視鏡的経鼻胆管ドレナージ(ENBD)を施行. 明らかな造影剤の漏出は認めないも, 術前造影で認められた右肝管前区域枝が造影されず, 離断型肝管損傷を疑った. ENBD後もドレーン排液量に変化なく, 術後13日目に発熱, 造影CTで肝床部から肝表面に液体貯留あり, bilomaと判断し超音波ガイド下ドレナージを施行, 胆汁が流出した. 以後300ml/day程度の胆汁流出が持続, biloma腔の縮小を待ち術後28日目の造影でbiloma腔の縮小を確認, 右肝管前区域枝の末梢胆管が造影され, 離断型肝管損傷と診断, 無水エタノール注入を開始した. 注入後は1回のみ発熱を認めたが, 他に重篤な合併症は認めなかった. 以後経時的に排液量が減少, 術後56日目(12回注入後)に胆汁流出は消失し注入中止, 術後64日目にチューブを抜去. 以後経過良好で術後72日目に軽快退院, 外来通院中である. 離断型肝管損傷による胆汁瘻は漏出部に対する直接的な手術も推奨されるが, 術後状態のため手術難度が高く治療に難渋することも珍しくない. 若干の文献的考察を加えここに報告する.
索引用語 胆汁瘻, 無水エタノール