セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 20:

Fibropolycystic diseaseに合併した胆管癌の1例

演者 神林 玄隆(東京女子医科大学病院 消化器内科)
共同演者 徳重 克年(東京女子医科大学病院 消化器内科), 貝瀬 智子(東京女子医科大学病院 消化器内科), 大森 鉄平(東京女子医科大学病院 消化器内科), 岸野 真衣子(東京女子医科大学病院 消化器内科), 橋本 悦子(東京女子医科大学病院 消化器内科), 白鳥 敬子(東京女子医科大学病院 消化器内科), 樋口 亮太(東京女子医科大学病院 消化器外科), 山本 雅一(東京女子医科大学病院 消化器外科)
抄録 Fibropolycystic diseaseとは、カロリー病・先天性肝線維症・胆管過誤腫などの一連の肝胆道系の線維性多嚢胞性疾患の総称である。今回、fibropolycystic diseaseの経過中に胆管癌を合併した症例を経験したので報告する。【症例】61歳、男性【既往歴】外傷性てんかん、虫垂炎手術後、高血圧、高尿酸血症【主訴】心窩部不快感【現病歴】2012年4月頃より心窩部圧迫感が出現し、近医受診。腹部エコーにて肝全体に小嚢胞および胆嚢内にdebrisを認めた。その後月に3-4回程度食後に出現する心窩部-右上腹部痛を認めたため、精査目的に当科紹介となった。初診時、胆嚢炎や胆管炎所見を認めないもののMRIで肝両葉にびまん性に数mmから最大15mmまでの胆管の近傍に多発性嚢胞を認め、fibropolycystic disease(胆管過誤腫)が疑われた。精査のため12月に腹腔鏡下肝生検施行し、fibropolycystic diseaseと診断した。その後は外来で経過観察の方針となり症状も軽快していたが、約10カ月後に再度心窩部不快感が出現。肝胆道系酵素および炎症反応の上昇を認め、精査加療目的に第2回入院となった。【経過】入院後、胆管炎の可能性を考慮して絶食補液管理とし、抗菌薬投与を開始した。腹部造影CTにて肝内胆管の拡張、肝門部胆管に結節影、壁肥厚を認め、総胆管は圧排され胆管腫瘍が疑われた。造影MRI、MRCPでも同様の所見を認め、さらにERCPを施行し、胆管狭窄部より擦過細胞で、hyperchromatic atypical cellを認め、胆管癌と診断した。画像上明らかな転移所見なく、外科的切除となった。【考察】Fibropolycystic diseaseは稀に胆管癌を合併するとの報告もあるが、今回経過観察中に心窩部の違和感から発見され外科的に切除可能な胆管癌の1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 胆管癌, 胆管過誤腫