セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 18:

サプリメント(金時しょうが®)による薬物性肝障害の1例

演者 鈴木 悠平(群馬大学 大学院 病態制御内科)
共同演者 山崎 勇一(群馬大学 大学院 病態制御内科), 橋爪 洋明(群馬大学 大学院 病態制御内科), 堀口 昇男(群馬大学 大学院 病態制御内科), 佐藤 賢(群馬大学 大学院 病態制御内科), 柿崎 暁(群馬大学 大学院 病態制御内科), 草野 元康(群馬大学 大学院 病態制御内科), 山田 正信(群馬大学 大学院 病態制御内科), 長嶺 竹明(群馬大学 大学院 保健学研究科)
抄録 【症例】70歳女性【主訴】黄疸、褐色尿【現病歴】1997年より洞性頻脈にて前医通院中であった。2013年4月から末梢の冷感、痺れに対してサプリメント(金時しょうが®)の内服を開始した。6月初旬上腹部違和感、食欲低下、褐色尿出現したため、金時しょうが®の内服を中止したが倦怠感強く、中止10日後皮膚黄染を自覚した。中止12日後前医受診し、肝胆道系酵素の上昇を認めたため当科紹介、精査加療目的に当科入院となった。【入院時現症】体温36.8℃、血圧158/88mmHg、皮膚、眼球結膜に黄染あり、肝脾触知せず。【入院時検査成績】T-Bil:10.8mg/dl,AST:2219U/L,ALT:2052U/L,LDH:586U/L,γ-GTP:331U/L, ALP:784U/L,PT:60%.【入院後経過】腹部CT、MRIで閉塞性黄疸は否定された。ウィルス性肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変などを除外した。金時しょうが®の薬剤リンパ球刺激試験を提出し陽性であった。DDW2004の薬物性肝障害のスコアリングにて肝細胞障害型9点より金時しょうが®による薬物性肝障害と診断した。入院後よりグリチルリチン製剤、ウルソデオキシコール酸による治療を行った。AST、ALTは入院時をピークに、黄疸は第9病日、T-Bil 14.6mg/dlをピークに徐々に改善した。第23病日、施行した肝生検では、肝細胞傷害と胆汁うっ滞の混合型の急性肝炎に相当する組織像を呈し、好酸球を含む多彩な細胞浸潤を認め、薬物性肝障害に矛盾しない所見であった。第28病日、肝障害、黄疸改善し退院となった。【考察】薬物性肝障害の原因としては近年サプリメントによる肝障害の報告が増加しており、原因不明の肝障害を診断する際には、鑑別診断として健康食品やサプリメントによる肝障害も念頭に置く必要がある。過去に1例のみ症例報告があるため稀であるが、金時しょうが®が原因薬物と考えられた薬物性肝障害の1例を報告する。
索引用語 薬物性肝障害, サプリメント