セッション情報 研修医セッション(卒後2年迄)

タイトル 63:

急性胆管炎と膵炎を繰り返し発症したLemmel症候群の1例

演者 福栄 亮介(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科)
共同演者 湯川 豊一(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 月永 真太郎(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 梶原 幹生(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 小林 亮太(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 高見 信一郎(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 小林 寛子(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 伊藤 善翔(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 松本 喜弘(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 高倉 一樹(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 小田原 俊一(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 内山 幹(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 小井戸 薫雄(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 斎藤 恵介(東京慈恵会医科大学附属柏病院 内視鏡部), 小山 誠太(東京慈恵会医科大学附属柏病院 内視鏡部), 安達 世(東京慈恵会医科大学附属柏病院 内視鏡部), 今津 博雄(東京慈恵会医科大学附属柏病院 内視鏡部), 荒川 廣志(東京慈恵会医科大学附属柏病院 内視鏡部), 大草 敏史(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 田尻 久雄(東京慈恵会医科大学 内科学講座 消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】傍乳頭部に存在する十二指腸憩室(juxtapapillary duodenal diverticula; JPDD)は、しばしば遭遇するものの症状に乏しく、臨床上看過されることが多いが、まれにこの憩室により重篤な膵ないし胆道症状を惹起することが報告されている。今回我々はJPDDにより惹起されたと考えられる繰り返す急性胆管炎および膵炎の症例を経験した。【症例】60歳、女性。常習飲酒歴なし。上腹部痛を主訴に近医を受診、胃薬の投薬を受けるも症状の改善がないため当科外来を受診となった。受診時TBil 3.7 mg/dL、ALP 508 U/L、GGT 477 U/L、Amy 826 U/L、CRP 6.8 mg/dLと黄疸と胆道系優位の肝障害、膵酵素の上昇を認め、急性胆管炎および膵炎の診断で緊急入院となった。入院後のMRIや超音波内視鏡などを施行するも胆嚢内及び総胆管に明らかな結石像や腫瘤像を指摘できず、一方でJPDDを認め、総胆管の通過結石あるいはJPDDに伴うLemmel症候群と考えた。保存的な治療により軽快、退院となったが、退院3ヶ月後に腹痛の再燃のため当院救急外来を受診、同様の所見を認めて再入院となった。再度諸検査を行うも、初回と同様、胆道系に明らかな結石は見られず、Lemmel症候群と診断した。2回目の入院時も保存的加療で症状は軽快、退院となり、現在外来にて慎重に経過観察中である。【考案】JPDDが膵胆道系に及ぼす機序として、憩室による機械的圧迫や乳頭炎、括約筋機能不全による逆流、さらに逆流に伴う上向性感染の関与などが挙げられるが、いまだ明らかな結論は得られていない。今回我々は胆管炎および膵炎を繰り返す示唆に富むLemmel症候群の1例を経験した。
索引用語 Lemmel症候群, 十二指腸憩室