セッション情報 一般演題

タイトル 38:

左側門脈圧亢進症をきたしたIgG4関連自己免疫性膵炎の一例

演者 松井 哲平(東邦大学医療センター 大森病院 消化器センター内科)
共同演者 中野 茂(東邦大学医療センター 大森病院 消化器センター内科), 荻野 悠(東邦大学医療センター 大森病院 消化器センター内科), 佐藤 綾(東邦大学医療センター 大森病院 消化器センター内科), 松井 太吾(東邦大学医療センター 大森病院 消化器センター内科), 松清 靖(東邦大学医療センター 大森病院 消化器センター内科), 高亀 道生(東邦大学医療センター 大森病院 消化器センター内科), 金山 政洋(東邦大学医療センター 大森病院 消化器センター内科), 篠原 美絵(東邦大学医療センター 大森病院 消化器センター内科), 岡野 直樹(東邦大学医療センター 大森病院 消化器センター内科), 池原 孝(東邦大学医療センター 大森病院 消化器センター内科), 籾山 浩一(東邦大学医療センター 大森病院 消化器センター内科), 篠原 正夫(東邦大学医療センター 大森病院 消化器センター内科), 永井 英成(東邦大学医療センター 大森病院 消化器センター内科), 渡邉 学(東邦大学医療センター 大森病院 消化器センター内科), 石井 耕司(東邦大学医療センター 大森病院 消化器センター内科), 五十嵐 良典(東邦大学医療センター 大森病院 消化器センター内科), 住野 泰清(東邦大学医療センター 大森病院 消化器センター内科)
抄録 【症例】71歳男性【主訴】皮膚黄染【現病歴】他院で肺腫瘤の経過観察中の血液検査で血小板減少を指摘され精査目的で当院へ紹介。上部消化管内視鏡検査で胃体上部大弯から穹窿部まで連なるF2の胃静脈瘤を認めたため精査目的で入院予定であったが、皮膚黄染と尿濃縮を自覚し外来を受診した。血液検査、腹部超音波検査で閉塞性黄疸が疑われ入院となった。【入院時身体所見】身長167cm、体重81kg、体温36.5℃、眼球結膜の黄染を認めたが、腹部の圧痛などは認めなかった。【入院時検査所見】血液生化学検査では、直接優位のビリルビンの上昇(T-B 4.0mg/dl, D-B 2.7mg/dl)と肝胆道系酵素の上昇を認め、CRPの軽度の上昇を認めた。腹部造影CT検査では肝内胆管の限局性拡張を認め、膵はソーセージ様に腫大し脾静脈の閉塞と胃静脈瘤の発達を認めた。また、腹部大動脈から総腸骨動脈分枝付近まで広がる軟部陰影を認めた。【入院後経過】閉塞性黄疸に対してERBDを留置。ERCP所見では、主膵管の狭小化を著しく認め、胆管の狭小・硬化像を認めた。細胞診では悪性所見は認めなかった。腹部血管造影検査を施行し、腹腔動脈根部の狭窄所見と脾静脈閉塞、側副血行路の発達を認めた。肝静脈圧較差は4mmHgであり正常範囲であった。血清IgG4値は155mg/dlと高値であり、各種画像所見を加味しIgG4関連自己免疫性膵炎、硬化性胆管炎、後腹膜線維症および脾静脈閉塞による左側型門脈圧亢進症と診断した。プレドニゾロン(PSL)30mg/日の投与を開始したところ経時的に膵のソーセージ様腫大、動脈周囲の軟部陰影、胆管狭小所見は改善し、脾静脈血流の再疎通と胃静脈瘤の縮小が得られた。現在外来にてPSLを漸減しつつ経過観察中である。【結語】左側門脈圧亢進症により胃静脈瘤の形成をきたしたIgG4関連自己免疫性膵炎症例を経験した。PSL投与により閉塞した脾静脈が再疎通し、胃静脈瘤の縮小が得られた稀な症例であると思われ報告する。
索引用語 自己免疫性膵炎, 胃静脈瘤