セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 78:顆粒球吸着療法(G-CAP)が奏功した腸管ベーチェットの一例 |
演者 | 作野 隆(東京医療センター 消化器科) |
共同演者 | 佐藤 道子(東京医療センター 消化器科), 高取 祐作(東京医療センター 消化器科), 成瀬 智康(東京医療センター 消化器科), 菊池 美穂(東京医療センター 消化器科), 西澤 俊宏(東京医療センター 消化器科), 藤山 洋一(東京医療センター 消化器科), 中村 光康(東京医療センター 消化器科), 金子 博(東京医療センター 消化器科), 高橋 正彦(東京医療センター 消化器科) |
抄録 | 症例は40歳男性。2011年7月下旬から軟便を認めていたが8月には鮮血を伴う1日3-4行の水様下痢になり、食欲不振、および頭部・顔面の皮疹、陰部潰瘍、左足関節の腫脹・疼痛も出現した。近医受診し抗生剤、整腸剤を投与されたが改善せず、8月17日に当院を紹介受診し緊急入院した。ざ瘡様皮疹、口腔内アフタ、外陰部潰瘍よりベーチェット病が疑われたが、眼科で網膜ブドウ膜炎や虹彩毛様体炎などの異常所見は指摘されなかった。入院時の腹部造影CTでは上行結腸から横行結腸の壁肥厚と所属リンパ節腫脹を認めていたが、8月26日の大腸鏡では上行結腸に一部白苔を伴う不整形潰瘍がほぼ全周性に約10cmにわたって連続しており、易出血性、浮腫状であった。また横行結腸にもびらんが点在していた。生検では肉芽腫はみられず、非特異的炎症のみで結核培養も陰性であった。回盲部は異常なく、打ち抜き病変も認めず、腸管ベーチェットとしては典型的ではないがクローン病や腸結核も否定的であった。小腸造影では異常所見なく、上部消化管内視鏡では胃底腺ポリープを認めるのみであった。入院後より禁食とし9月2日よりメサラジン3000mg/日、9月8日よりプレドニゾロン40mg/日を投与したところ、下血以外の症状はすみやかに改善しプレドニゾロンは減量可能であった。下血に対して10月18日より顆粒球吸着療法(G-CAP)を導入したところ下血、下痢は徐々に改善を認め、10月20日にEDチューブよりエレンタール経管栄養とし、10月25日より食事開始した。週1回のG-CAPを5回施行したところ下痢は改善し、11月22日の大腸鏡再検で病変部の狭窄を認めたが、潰瘍病変は残存するも縮小していたため11月25日に退院した。退院後はメサラジンのみで症状増悪なく経過している。今回われわれはG-CAPが奏功した腸管ベーチェット病の1例を経験したので若干の考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 腸管ベーチェット, 顆粒球吸着療法 |