セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 39:出血性横行結腸静脈瘤を合併した膵頭部癌切除後再発患者に対して人工肛門造設術後に化学療法を実施した1例 |
演者 | 西田 保則(国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科) |
共同演者 | 光永 修一(国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科), 桑原 明子(国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科), 奥山 浩之(国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科), 高橋 秀明(国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科), 大野 泉(国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科), 清水 怜(国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科), 池田 公史(国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科) |
抄録 | 横行結腸静脈瘤は非常に稀であり、その治療方針は確立していない。我々は、膵頭部癌切除後の再発巣近傍に高度な横行結腸静脈瘤を認め、出血を繰り返した患者に対し、再出血を回避するために人工肛門を造設して化学療法の実施を可能にした1例を経験したので報告する。 症例は69歳男性。膵頭部癌に対し、当院にて亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行され、術後補助化学療法としてゲムシタビン塩酸塩(GEM)とS-1の併用療法を6ヶ月間実施された後、無再発で経過観察されていた。術後約1年5か月後に下血を認めたため、上部および下部消化管内視鏡検査を行うも、消化管出血の原因となる病変は確認できなかった。同時に行われた腹部造影CT検査にて上腸間膜動脈周囲にリンパ節再発を認めたため、再度の消化管出血がないことを確認した後、GEM単剤療法を開始した。GEM開始から3ヶ月後に再度の下血を認め、下部消化管内視鏡検査にて横行結腸に広範囲の静脈瘤形成を認めた。他に出血源の原因と考えられる病変を認めなかったことから、横行結腸静脈瘤による出血と診断した。GEMによる腫瘍制御は得られていたことから、静脈瘤に対して積極的に治療を行い、止血が得られた後にGEMを再開する方針とした。横行結腸静脈瘤に対する内視鏡的治療および血管内治療は困難と判断され、排便刺激回避による止血効果を期待して人工肛門造設術が当院大腸外科で実施された。人工肛門造設術後は下血を認めず、1ヶ月後にGEM単剤療法を再開することが可能であった。 今回の経験から、消化管出血を認めた膵癌患者に対して原因検索を行う際には、稀ではあるが横行結腸静脈瘤も念頭に精査を行うことが重要と考えられた。 |
索引用語 | 異所性静脈瘤, 膵癌 |