セッション情報 一般演題

タイトル 29:

当院におけるC型肝炎合併透析患者の予後とIFN治療に対する有効性および安全性についての検討

演者 細沼 賢一(東邦病院 内科)
共同演者 廣川 朋之(東邦病院 内科), 青木 隆(東邦病院 内科)
抄録 【目的】透析患者のHCV抗体陽性率は、腎機能正常者と比較して高率とされ、陽性者では肝硬変、肝癌の発症率が高く、陰性患者と比較し生命予後が低いことが報告されている。しかし、多くの患者が無治療で経過していると予想され、IFN治療の有効性や安全性については不明な点が多い。今回、当院におけるC型肝炎合併透析患者の予後とIFN治療に対する有効性および安全性について検討を行った。【方法】予後については、当院で2007年から2012年の間に死亡したC型肝炎合併透析患者18例について検討した。IFN治療に対する有効性および安全性についてはPeg-IFNα2a単独治療を行った13例について検討した。【成績】上記期間中に死亡した18例 (M/F=11/7)の死亡原因は肝不全4例、敗血症5例、肺炎5例、心不全3例、膵癌1例であった。死亡時の肝の状態は慢性肝炎9例、肝硬変7例 、慢性肝炎~肝硬変2例であった。死亡時年齢の中央値は肝不全以外による死亡例69歳に対し、肝不全による死亡例65歳、慢性肝炎での死亡例74歳に対し、肝硬変での死亡例67歳であった。IFN治療を行った13例(M/F=11/2)の年齢中央値は60歳(48-70歳)であった。ウイルス型はGenotype1b/Group1(G1)が6例、Genotype2a/2b/Group2(G2)が7例であった。背景腎疾患は糖尿病性7例、慢性糸球体腎炎6例、 腎硬化症2例、その他4例、透析歴中央値は5年(1-28年)であった。SVRは3例、再燃は3例、無効は6例であった。SVR例は全例G2でPeg-IFNα2aの投与法は60-135μg/1w~2w×10-24回であった。再燃例は1例がG1低ウイルス量、2例がG2高ウイルス量であった。無効例は5例がG2で全例が高ウイルス量であった。副作用は主に血球系減少であり、IFN減量等により対応可能であった。 【結論】透析患者でもC型肝炎合併者では肝疾患が予後に影響する。透析患者に対するIFN治療は特にG2であればSVRを期待できるため、条件により治療を積極的に考慮すべきであるが、至適投与法が十分に確立されているとは言えず、今後も症例を蓄積し個々の症例に合わせた投与法を確立していく必要がある。
索引用語 C型肝炎, 透析