セッション情報 一般演題

タイトル 33:

肝細胞癌に対するミリプラチン動注療法及びラジオ波焼灼術後に発症した急性間質性肺炎の1例

演者 小曽根 隆(くすの木病院内科)
共同演者 高草木 智史(くすの木病院内科), 佐藤 賢(群馬大学大学院医学系研究科病態制御内科), 柿崎 暁(群馬大学大学院医学系研究科病態制御内科)
抄録 【症例】77歳、女性【現病歴】20年ほど前からHCV抗体陽性を指摘される。8年ほど前から肝硬変として近医加療されていた。その後、患者希望にて当院肝臓外来を紹介初診、スクリーニングCTにて肝S5/6にHCCを指摘され、治療目的に入院となる。【入院後経過】第0病日、AG施行。HCCのfeederであるA7よりミリプラチン50mg及びジェルパートにてLip-TACEを施行した。翌日のCTでは同部に良好なリピオドール沈着を認めた。その後発熱、腹痛など認めず、第7病日に同結節に対してRFAを施行。翌日に39℃台の発熱認めるも翌々日には軽快した。その後退院予定としていたが、第15病日の夕方より38℃台の発熱が再燃し持続、第18病日の朝、胸部XP及びCTにて両肺にすりガラス様陰影を認め、間質性肺炎あるいはARDSと診断した。同日よりソルメドロール1g/日によるステロイドパルス療法を開始した。しかし、その効果は乏しく、第21病日に人工呼吸器管理とした。その後プレドニン60mg/日で様子を見ていたが、XP所見上肺陰影の増悪を認めたため、第25病日より前回と同量でステロイドパルス療法2クール目を開始。今回は肺陰影の軽減を認めたため、プレドニン40mg/日で経過観察としていたが、第33病日より右肺気胸を発症、心臓が著明に左方圧排されたことによる急激な血圧低下を来した。同日、胸腔ドレナージを施行し、心臓の圧排は改善されて低血圧状態は改善した。その後、肺炎像自体は鎮静化していたが徐々に黄疸、腎不全状態となり、第34病日にはほとんどの薬剤を中止せざるを得ない状態となり第38病日、死亡した。【考察】ミリプラチンの使用承認当初には重篤な呼吸器系の副作用は挙げられていなかったが、その後にミリプラチン使用後の重篤な肺障害の報告があり、重大な副作用として間質性肺炎が追加されている。本症例においては発症、治療経過を考慮しても既往症や、RFA治療の影響である可能性は低く、さらに心不全や感染による肺炎も考えにくいことから、ミリプラチンによる薬剤性肺障害であった可能性が高く、貴重な症例と考えられここに報告する。
索引用語 Lip-TACE, 薬剤性肺障害