セッション情報 一般演題

タイトル 81:

大腸癌が先行しCronkhite-Canada症候群の治療中に肝転移を来した1例

演者 宮田 康史(自治医科大学 内科学講座 消化器内科学部門)
共同演者 三浦 義正(自治医科大学 内科学講座 消化器内科学部門), 北村 絢(自治医科大学 内科学講座 消化器内科学部門), 井野 裕治(自治医科大学 内科学講座 消化器内科学部門), 竹澤 敬人(自治医科大学 内科学講座 消化器内科学部門), 坂本 博次(自治医科大学 内科学講座 消化器内科学部門), 新畑 博英(自治医科大学 内科学講座 消化器内科学部門), 林 芳和(自治医科大学 内科学講座 消化器内科学部門), 佐藤 博之(自治医科大学 内科学講座 消化器内科学部門), 矢野 智則(自治医科大学 内科学講座 消化器内科学部門), 砂田 圭二郎(自治医科大学 内科学講座 消化器内科学部門), 佐藤 貴一(自治医科大学 内科学講座 消化器内科学部門), 大澤 博之(自治医科大学 内科学講座 消化器内科学部門), 山本 博徳(自治医科大学 内科学講座 消化器内科学部門), 菅野 健太郎(自治医科大学 内科学講座 消化器内科学部門)
抄録 【諸言】Cronkhite-Canada症候群は比較的稀な疾患とされ、世界で300例程度の報告があるが、7割が本邦からの報告である。以前は栄養状態の悪化による死亡例が多く予後不良とされていたが、栄養管理や副腎皮質ステロイドなどの治療に比較的反応する症例もあり予後が改善している一方で、悪性腫瘍合併例、特に大腸癌の報告が増加している。【症例】74歳、男性。2007年検診で胃の多発ポリープ、2010年には大腸の多発ポリープと横行結腸進行癌を指摘され、右半結腸切除が施行された(type1,35mm,tub2,pT2 (pMP),infα,medullary,ly1, v2,pN0,pDM(-),pPM(-) stage1)。2011年11月頃より脱毛・爪甲剥離・色素沈着が出現し、また下痢回数増加、低Alb血症に伴う下肢浮腫を認め、当院紹介入院となり、特徴的な身体所見と内視鏡像よりCronkhite-Canada症候群、蛋白漏出性胃腸症との診断に至った。副腎皮質ステロイドによる治療で症状改善するものの減量すると悪化し、その他の免疫調整薬、抗プラスミン薬、メサラジン、中心静脈栄養、成分栄養療法、腸管滅菌等様々な方法を試したが、臨床症状・内視鏡像とも完全な改善には至らなかった。大腸癌の転移・再発については、定期的な腹部CT、上下部消化管内視鏡、腫瘍マーカーでフォローアップしていたが、2012年10月の腹部CTでは指摘できなかった巨大肝腫瘍、骨転移が10か月後のCTで出現し、肝生検で大腸癌転移の診断に至った。【結語】本症例の経験から、Cronkhite-Canada症候群は悪性腫瘍のハイリスク疾患との認識が必要で、副腎皮質ステロイドや免疫調整薬を使用する場合には短期間でのスクリーニング検査を考慮する必要があると考えられる。
索引用語 Cronkhite-Canada, 大腸癌