共同演者 |
鈴木 康平(東京医科歯科大学 消化器内科), 斎藤 詠子(東京医科歯科大学 消化器内科), 水谷 知裕(東京医科歯科大学 消化器内科), 和田 祥城(東京医科歯科大学 消化器内科), 藤井 俊光(東京医科歯科大学 消化器内科), 井津井 康浩(東京医科歯科大学 消化器内科), 大島 茂(東京医科歯科大学 消化器内科), 中川 美奈(東京医科歯科大学 消化器内科), 岡本 隆一(東京医科歯科大学 消化器内科), 土屋 輝一郎(東京医科歯科大学 消化器内科), 柿沼 清(東京医科歯科大学 消化器内科), 東 正新(東京医科歯科大学 消化器内科), 永石 宇司(東京医科歯科大学 消化器内科), 大岡 真也(東京医科歯科大学 消化器内科), 長堀 正和(東京医科歯科大学 消化器内科), 中村 哲也(東京医科歯科大学 消化器内科), 荒木 昭博(東京医科歯科大学 消化器内科), 大塚 和朗(東京医科歯科大学 消化器内科), 朝比奈 靖浩(東京医科歯科大学 消化器内科), 渡辺 守(東京医科歯科大学 消化器内科) |
抄録 |
症例は69歳男性、 2008年7月より慢性的な水様性下痢を認め前医受診し精査をするも特異的な所見はなく過敏性腸症候群と診断された。2012年3月に6年間赴任したマレーシアより帰国後、7月から38度台の発熱、下痢および全身倦怠感が間欠的に出現した。2013年5月に前医を再診しCRPの上昇を認め精査目的に入院となった。腹部造影CTでは小腸壁の肥厚を認め、カプセル内視鏡にて空腸の粘膜萎縮および糜爛を認め当院に9月紹介となった。精査入院の後に経口的に小腸シングルバルーン内視鏡を施行した。胃は軽度の萎縮性変化のみであった。幽門から小腸を400cmまで観察した。十二指腸球部から空腸にかけて絨毛はびまんおよび連続性に萎縮し、一部腫大および白班呈する部位も認めたが潰瘍や糜爛は認めなかった。病理学的に絨毛構造は肥大および消失しており粘膜固有層内にリンパ球の強い浸潤を認めた。免疫染色にてCD3,CD5,CD43が陽性で、CD7は陰性および陽性が混在していた。その他CD20,CD79a陽性細胞は比較的少数であった。CD4,CD8,CD10,CD56,CD30,bcl1,bcl2,CKAE1/AE3は陰性。EVB-ISH(-)、Ki-67 10%程度。またHTLV-1抗体陰性であり小腸原発のPTCL-NOSと診断した。PET-CTにて軽度腸間膜リンパ節の腫大を認めるも異常集積は認めず、Lugano国際分類にてStage2-1と診断しTHP-COP療法を開始した。消化管原発の悪性リンパ腫は全悪性リンパ腫の5-20%に認め、PTCL-NOSは本邦では当症例を含め7例のみの非常に稀な疾患である。本症例は長期かつ緩徐な臨床経過をたどっており内視鏡所見においても絨毛の萎縮といった興味深い所見を呈している。 |