セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 01:

食道好酸球浸潤により特異な内視鏡像を呈した好酸球性胃腸炎の一例

演者 大森 順(日本医科大学 消化器内科学)
共同演者 川見 典之(日本医科大学 消化器内科学), 岩切 勝彦(日本医科大学 消化器内科学DELIMITER日本医科大学千葉北総病院 消化器内科), 竹之内 菜菜(日本医科大学 消化器内科学), 星野 慎太朗(日本医科大学 消化器内科学DELIMITER日本医科大学千葉北総病院 消化器内科), 梅澤 まり子(日本医科大学 消化器内科学), 坂本 長逸(日本医科大学 消化器内科学)
抄録 症例は81歳男性。4か月程前よりつかえ感あり、他院で上部消化管内視鏡検査施行し食道癌が疑われたため精査目的で当科紹介となった。当科で施行した上部消化管内視鏡検査にて切歯27~31cmに一部白苔付着し発赤した粘膜を認め、表面凹凸不整で、6時方向中心に粘膜の平坦な隆起があり食道内腔の狭小化を認めた。NBI観察ではIPCLの拡張・蛇行あり、ルゴール染色でまだらに淡染する所見を認めた。食道造影検査では胸部中部~胸部下部食道にかけて3cm長の狭窄、口側にバリウムの貯留を認め、胸部CTにても食道内腔の狭小化を認めたが明らかな腫瘤像や壁肥厚像はみられなかった。食道癌が疑われたが病理検査では炎症像のみで悪性を示唆する結果は得られなかった。2週間後に内視鏡を再検したところ粘膜隆起、食道内腔の狭小化は軽減し、不整な粘膜像はみられなかった。再検した病理検査でも悪性を示唆する所見はなかったが、食道粘膜に20個以上/HPFの著明な好酸球浸潤を認めた。血液検査では好酸球数が最大で1126/μL(17.6%)、IgE2382IU/mLと上昇を認めた。既往歴に陳旧性心筋梗塞、心房細動を認めるが気管支喘息などのアレルギー歴はなく好酸球増加をきたすアレルギー疾患、薬剤アレルギー、寄生虫感染、好酸球増多症候群など否定され胃、十二指腸粘膜にも好酸球浸潤を認めたことから食道病変を中心とした好酸球性胃腸炎と診断した。つかえ感が強く食道運動機能の評価で食道内圧検査も施行したが食道蠕動運動の低下を認めた。治療は食道病変が中心であり、全身状態を考慮し副作用の少ないステロイド食道局所投与を選択した。budesonide吸入薬の内服を400μg×2回/日より開始し、400μg×3回/日に増量し症状の改善、血中好酸球数の低下を認めた。食道好酸球浸潤により特異な内視鏡像を呈した好酸球性胃腸炎の一例を経験した。好酸球性消化管障害(好酸球性食道炎、好酸球性胃腸炎)の実態は不明な点が多く、好酸球性消化管障害を理解するうえで本症例は貴重な症例であると考えるため文献的考察を加え報告する。
索引用語 好酸球性胃腸炎, 食道好酸球浸潤