セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 79:初診時にサイトメガロウイルス感染を合併したCrohn病の1例 |
演者 | 宮前 直美(国立病院機構 高崎総合医療センター 消化器病センター内科) |
共同演者 | 工藤 智洋(国立病院機構 高崎総合医療センター 消化器病センター内科), 小板橋 絵理(国立病院機構 高崎総合医療センター 消化器病センター内科), 上原 早苗(国立病院機構 高崎総合医療センター 消化器病センター内科), 小柏 剛(国立病院機構 高崎総合医療センター 消化器病センター内科), 星野 崇(国立病院機構 高崎総合医療センター 消化器病センター内科), 長沼 篤(国立病院機構 高崎総合医療センター 消化器病センター内科), 高木 均(国立病院機構 高崎総合医療センター 消化器病センター内科), 石原 弘(国立病院機構 高崎総合医療センター 消化器病センター内科) |
抄録 | 30歳女性。腹痛、下痢が数か月間持続し、近医で過敏性腸症候群として整腸剤などで加療されていたが改善なく、腹痛が自制外となったため当院を受診した。初診時の血液検査で炎症反応上昇および低蛋白血症を認めた。腹部CT検査にて回盲部やS状結腸の壁肥厚および腹腔内リンパ節の腫大、腹水貯留を認めた。大腸内視鏡検査(CS)では疼痛のためSD junction以深へのスコープ挿入は困難であったが、S状結腸に縦走傾向の潰瘍を認めた。痔瘻を認めなかった。クローン病(CD)を疑い生検をしたが、肉芽性変化は認めるものの、類上皮肉芽腫は検出されなかった。一方、核内封入体を伴う巨細胞が検出され、免疫染色でサイトメガロウイルス(CMV)陽性であった。CMV-antigenemiaは陰性であったが、CMV-IgG、CMV-IgMともに上昇していた。上部消化管内視鏡検査では特異的な所見を認めなかったが、小腸造影にて小腸に広範囲に縦走潰瘍を認め、回腸末端に狭窄を認めた。CDの確定診断には至らなかったが、CMV感染の合併したCDあるいは単独のCMV腸炎として、ガンシクロビル(GCV)による治療を開始した。またCDの疑いに対して5-ASA製剤および栄養療法(half ED)を併用した。GCVを14日間投与したのちにCSを再検したところ挿入時の疼痛は消失し、回腸末端まで観察可能であった。回腸末端に敷石状変化を認め、生検で類上皮肉芽腫が検出された。初回CS時のS状結腸の潰瘍は同様に存在していたが、生検では核内封入体は検出されず、肉芽性変化のみであった。最終的に未治療のクローン病にCMV感染が合併したものと診断。腹痛などの症状はGCV投与にて消失したが、内視鏡で活動性潰瘍を認め、CRPも陰性化していなかったことからアダリムマブを併用した。それにより寛解導入に成功している。生物学的製剤投与中のCDにCVM感染が合併した症例は報告されているが、初診時に併発している症例は非常に稀であり示唆に富む症例と思われたため、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | クローン病, サイトメガロウイルス |