セッション情報 研修医セッション(卒後2年迄)

タイトル 61:

悪性との鑑別に苦渋した進行性の閉塞性黄疸を呈したMirizzi症候群の1例

演者 須藤 佑太(群馬大学医学部 臓器病態外科学)
共同演者 須納瀬 豊(群馬大学医学部 臓器病態外科学), 平井 圭太郎(群馬大学医学部 臓器病態外科学), 吉成 大介(群馬大学医学部 臓器病態外科学), 小川 博臣(群馬大学医学部 臓器病態外科学), 塚越 浩志(群馬大学医学部 臓器病態外科学), 山崎 穂高(群馬大学医学部 臓器病態外科学), 高橋 憲史(群馬大学医学部 臓器病態外科学), 高橋 研吾(群馬大学医学部 臓器病態外科学), 五十嵐 隆通(群馬大学医学部 臓器病態外科学), 田中 和美(群馬大学医学部 臓器病態外科学), 竹吉 泉(群馬大学医学部 臓器病態外科学)
抄録  症例は52歳男性、腹痛と倦怠感を主訴に近医を受診した。閉塞性黄疸を認め、精査のため近医に入院となった。CT上、上部~肝門部の胆管壁肥厚とその肝側胆管の拡張所見を認めた。また、胆嚢頚部に結石を認めたが、胆嚢の壁肥厚は強くなかった。ERCPで肝外胆管の狭窄を認めるものの壁はスムーズであった。細胞診では悪性所見を認めず経過観察となった。経過観察の過程で、進行性の閉塞性黄疸を呈してきたためBD tubeが挿入、精査加療目的に当院紹介となった。CTでは胆嚢頚部に12mmの石灰化を伴う結石を認め、上部~肝門部胆管には壁肥厚を認めたが、腫瘍性か炎症性かの鑑別は困難であった。以上より、胆石嵌頓によるMirizzi症候群または胆管癌と考えられ、良性であっても狭窄が強く自然軽快は望めないものと考え手術を施行とした。術中所見では肝下面に大網が炎症性に癒着し、十二指腸間膜にも癒着と線維化が見られた。胆嚢および胆管壁は肥厚しており、良悪性の判断は難しく、胆管の一部を術中迅速診に提出した。組織学的に良性と診断されたため、胆石嵌頓によるMirizzi症候群と診断し、肝外胆管切除+胆管空腸吻合を行った。病理組織では胆嚢および胆管壁には黄色肉芽腫を認めたが腫瘍性病変は見られなかった。胆嚢炎、胆管炎などの強い炎症症状を伴わないままに閉塞性黄疸を来たし、胆道癌との術前の鑑別診断に難渋したMirizzi症候群の症例を、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 Mirizzi症候群, 閉塞性黄疸