セッション情報 研修医セッション(卒後2年迄)

タイトル 57:

発症早期の持続的血液濾過透析が著効したアルコール性ケトアシドーシスの1例

演者 富澤 彩智(公立富岡総合病院 消化器科)
共同演者 齋藤 秀一(公立富岡総合病院 消化器科), 増田 智之(公立富岡総合病院 消化器科), 渋澤 恭子(公立富岡総合病院 消化器科), 中山 哲雄(公立富岡総合病院 消化器科), 吉田 佐知子(公立富岡総合病院 消化器科), 仁平 聡(公立富岡総合病院 消化器科)
抄録 症例は59歳男性。若い頃よりアルコールを多飲し、急性アルコール中毒の既往歴もある患者。数ヶ月前より飲酒量が増えたことにより無断欠勤や二日酔いの状態で出勤することが増えてきた事が契機となり、失職。1ヶ月前に転職するもストレスにより飲酒量は増えていた。数日前より食事はほとんど摂取せず、焼酎を10合/日飲酒していた。発症前日も同様に日中から飲酒していたが、夜になり腹痛出現。嘔吐・下痢(血便なし)も認められ、腹痛の改善認められなかったため、翌日の明け方に当院救急外来を受診された。受診時より著名な代謝性アシドーシス(pH6.817、HCO3-2.2mmol/l、BE-31.4mmol/l、PaO290.1mmHg、PaCO213.6mmHg、乳酸5.17mmol/l)、AnionGap53.2mEq/l-1が認められていたが、血圧は112/62mmHgと保たれていた。アルコール性ケトアシドーシス(AKA)疑いとしてブドウ糖の投与、脱水補正、ビタミン剤投与など行うも、入院後にショックとなり呼吸不全も認められた。直ちに人工呼吸管理を開始しカテコラミンの投与を行った。カテコラミン投与後も循環動態安定せず、腎機能障害、高度アシドーシスの補正目的で持続的血液濾過透析(CHDF)を開始。その後ショック、アシドーシスの改善が認められた。第2病日には、腎機能改善され、尿量維持が確認されたためCHDFを中止。第4病日には抜管され、第5病日にカテコラミンの投与を中止となり、第10病日、独歩にて退院となった。AKAではしばしば重篤な合併症の出現やアシドーシスが高度となり、ショックや心肺停止に陥る報告例が認められる。治療開始後の反応不応例や重症例にはCHDFが非常に有効である可能性があり、治療法の一つとして早期に開始する事も念頭に置く必要がある。
索引用語 アルコール性ケトアシドーシス, ショック