共同演者 |
山田 真里江(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 消化器・肝臓内科), 關 伸嘉(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 消化器・肝臓内科), 宮崎 民浩(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 消化器・肝臓内科), 杉田 知典(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 消化器・肝臓内科), 会田 雄太(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 消化器・肝臓内科), 板垣 宗徳(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 消化器・肝臓内科), 石黒 晴哉(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 消化器・肝臓内科), 安部 宏(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 消化器・肝臓内科), 須藤 訓(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 消化器・肝臓内科), 相澤 良夫(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 消化器・肝臓内科) |
抄録 |
【症例】81歳男性【主訴】胃静脈瘤治療目的【既往歴】25歳肺結核,78歳甲状腺機能低下症【現病歴】1995年よりHCV陽性のため他院にて経過観察中であった.2005年にHCCを認めPEIT施行. 2009年5月,HCC再発のため加療目的で当科紹介. TACE+RFA施行し,その後インターフェロン治療を行うもうつ症状にて中止.その後3度のTACEを行う一方で, 2013年6月の上部消化管内視鏡検査(GIF)で食道静脈瘤(Lm,F3,Cb,RC2),胃静脈瘤(Lg-cf,F3,Cw,RC0)認め, Intra EIS+EVL施行するも十分な効果は得られなかった. 造影CTでは,胃静脈瘤は左胃静脈,後胃静脈への逆流を主体とする側副血行路により形成され,流出血行路は左心膜横隔静脈が主体であることが確認できた.小さなviable HCCは散見されるが,消化管出血の可能性を考え,胃静脈瘤に対するBRTO目的で入院となった.【身体所見】血圧139/64 mmHg,脈拍82回/分,体温 36.2度,貧血・黄疸なし,胸腹部異常なし,下腿浮腫なし【検査所見】WBC 4600/μl,Hb 12.4g/dL,Plt 6.4×104 /μL,PT 72%,AST 33 IU/l,ALT 15 IU/l,T-Bil 1.3mg/dl, Alb 2.9g/dL,UN 17mg/dL, Cr 0.80mg/dL,AFP 29ng/mL,PIVKA-II 651mAU/mlと肝予備能はChild-Pugh B,腫瘍マーカーの上昇を認めた.【経過】左内頚静脈からのアプローチで左心膜横隔静脈に挿入し, バルン下逆行性経静脈造影(BRTV)施行したが,Down gradingは困難であった.下横隔膜動脈の側副血行路をマイクロコイルにて塞栓し,その他細かい側副血行路を閉塞するため,グルコース注入したところBRTVにて胃静脈瘤の大部分が描出されたためEthanolamine Oleateを注入し,停滞を確認し,終了となった. BRTO施行6日目の造影CTにて胃静脈瘤および心膜横隔静脈の血栓化を確認し,7日目,35日目のGIFでは,胃静脈瘤のブロンズ調の色調変化と縮小を認めた. 治療後は,腹水軽度増悪認める以外大きな合併症なく経過し,退院となった.【考察】BRTOは孤立性胃静脈瘤に対して有用な治療であるが,本症例のような左心膜横隔静脈が主流出路の胃静脈瘤に対してBRTOを施行した報告は稀であり,文献的考察を加え報告する. |