セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 17:

左心膜横隔静脈が主流出路の胃静脈瘤に対してバルン下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)が奏功した1例

演者 石本 詩子(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 消化器・肝臓内科)
共同演者 山田 真里江(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 消化器・肝臓内科), 關 伸嘉(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 消化器・肝臓内科), 宮崎 民浩(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 消化器・肝臓内科), 杉田 知典(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 消化器・肝臓内科), 会田 雄太(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 消化器・肝臓内科), 板垣 宗徳(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 消化器・肝臓内科), 石黒 晴哉(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 消化器・肝臓内科), 安部 宏(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 消化器・肝臓内科), 須藤 訓(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 消化器・肝臓内科), 相澤 良夫(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 消化器・肝臓内科)
抄録 【症例】81歳男性【主訴】胃静脈瘤治療目的【既往歴】25歳肺結核,78歳甲状腺機能低下症【現病歴】1995年よりHCV陽性のため他院にて経過観察中であった.2005年にHCCを認めPEIT施行. 2009年5月,HCC再発のため加療目的で当科紹介. TACE+RFA施行し,その後インターフェロン治療を行うもうつ症状にて中止.その後3度のTACEを行う一方で, 2013年6月の上部消化管内視鏡検査(GIF)で食道静脈瘤(Lm,F3,Cb,RC2),胃静脈瘤(Lg-cf,F3,Cw,RC0)認め, Intra EIS+EVL施行するも十分な効果は得られなかった. 造影CTでは,胃静脈瘤は左胃静脈,後胃静脈への逆流を主体とする側副血行路により形成され,流出血行路は左心膜横隔静脈が主体であることが確認できた.小さなviable HCCは散見されるが,消化管出血の可能性を考え,胃静脈瘤に対するBRTO目的で入院となった.【身体所見】血圧139/64 mmHg,脈拍82回/分,体温 36.2度,貧血・黄疸なし,胸腹部異常なし,下腿浮腫なし【検査所見】WBC 4600/μl,Hb 12.4g/dL,Plt 6.4×104 /μL,PT 72%,AST 33 IU/l,ALT 15 IU/l,T-Bil 1.3mg/dl, Alb 2.9g/dL,UN 17mg/dL, Cr 0.80mg/dL,AFP 29ng/mL,PIVKA-II 651mAU/mlと肝予備能はChild-Pugh B,腫瘍マーカーの上昇を認めた.【経過】左内頚静脈からのアプローチで左心膜横隔静脈に挿入し, バルン下逆行性経静脈造影(BRTV)施行したが,Down gradingは困難であった.下横隔膜動脈の側副血行路をマイクロコイルにて塞栓し,その他細かい側副血行路を閉塞するため,グルコース注入したところBRTVにて胃静脈瘤の大部分が描出されたためEthanolamine Oleateを注入し,停滞を確認し,終了となった. BRTO施行6日目の造影CTにて胃静脈瘤および心膜横隔静脈の血栓化を確認し,7日目,35日目のGIFでは,胃静脈瘤のブロンズ調の色調変化と縮小を認めた. 治療後は,腹水軽度増悪認める以外大きな合併症なく経過し,退院となった.【考察】BRTOは孤立性胃静脈瘤に対して有用な治療であるが,本症例のような左心膜横隔静脈が主流出路の胃静脈瘤に対してBRTOを施行した報告は稀であり,文献的考察を加え報告する.
索引用語 BRTO, 胃静脈瘤