セッション情報 | 専修医セッション(卒後3-5年) |
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タイトル | 02:急速な転帰をとった多発肝腫瘤の一例 |
演者 | 松野 高久(社会保険中央総合病院 消化器内科) |
共同演者 | 齋藤 聡(社会保険中央総合病院 消化器内科), 岩田 裕子(社会保険中央総合病院 消化器内科), 福士 剛蔵(社会保険中央総合病院 消化器内科), 葉山 惟信(社会保険中央総合病院 消化器内科), 平山 敦大(社会保険中央総合病院 消化器内科), 小野 真史(社会保険中央総合病院 消化器内科), 三浦 英明(社会保険中央総合病院 消化器内科), 畑田 康政(社会保険中央総合病院 消化器内科), 山田 春木(社会保険中央総合病院 消化器内科), 飯原 久仁子(社会保険中央総合病院 病理診断科) |
抄録 | 【症例】69歳 男性。 【主訴】右季肋部痛。 【現病歴】入院1ヶ月前から心窩部から右季肋部痛を認めたため当院内科外来を受診した。内服薬を処方され一旦帰宅したが、翌日痛みが増強したため救急要請した。血液検査で炎症反応と肝胆道系酵素上昇を認め、食欲不振もあることから,精査加療目的で入院となった。 【既往歴】50歳 関節リウマチ。 【生活歴】たばこ 5本/日 40年間、飲酒なし、アレルギーなし。 【入院時現症】身長 157cm、体重 48kg (BMI 19.4)。意識清明、体温36.7℃、脈拍 98回/分 整、血圧154/98mmHg。腹部右肋骨弓下に肝5横指触知、圧痛あり。 【入院時腹部造影CT検査所見】肝臓は腫大しており、造影後期相で肝臓に多数の辺縁不明瞭な低濃度結節を認めた。 【入院後経過】入院後精査で上部消化管内視鏡検査を施行したところ、食道切歯列30cm4時方向にルゴール淡染の隆起性病変を認めた。生検の結果、小細胞癌であった。その後肝生検施行予定であったが、入院第8病日に食欲不振と黄疸が出現、腹痛が増強し、急激な肝不全の進行を認め、血液検査上AST/ALTの乖離、LDHとカリウムの急激な上昇を呈し、腫瘍崩壊症候群が疑われた。黄疸の出現から6日後の、入院第14病日に永眠した。その後病理解剖を施行し、食道原発の神経内分泌癌と診断された。 【考察】食道神経内分泌癌は稀であり、全食道癌中に占める割合は0.6%である。医学中央雑誌で、1983年~2013年のうち、キーワード「食道」「神経内分泌癌」で検索すると190例の報告があり、「肝転移」を追加すると6症例の報告があった。手術、化学療法、放射線療法を併用し、CRが得られ無再発生存している報告が2例あったが、その他では再発を認めるなどして死亡の転帰をとっている。食道神経内分泌癌は粘膜下腫瘍の形態をとって発育するため早期に粘膜下層以深に腫瘍が浸潤しやすく、扁平上皮癌よりも高率で早期に転移しやすい。5年生存率は9%、50%生存期間は6ヶ月と予後は極めて不良であるため、早期診断、治療が重要であると考えた。 |
索引用語 | 食道神経内分泌癌, 肝転移 |