セッション情報 一般演題

タイトル 83:

肝硬変に合併し経鼻酸素投与により改善するも再燃を繰り返した腸管嚢胞様気腫症の一例

演者 河村 貴広(横浜市立みなと赤十字病院)
共同演者 浅川 剛人(横浜市立みなと赤十字病院), 金城 美幸(横浜市立みなと赤十字病院), 高浦 健太(横浜市立みなと赤十字病院), 西尾 匡史(横浜市立みなと赤十字病院), 勝倉 暢洋(横浜市立みなと赤十字病院), 小橋 健一郎(横浜市立みなと赤十字病院), 橋口 真子(横浜市立みなと赤十字病院), 先田 信哉(横浜市立みなと赤十字病院), 有村 明彦(横浜市立みなと赤十字病院), 熊谷 二朗(横浜市立みなと赤十字病院)
抄録 【症例】57歳女性【既往歴】アルコール依存症、アルコール性肝硬変【現病歴・経過】アルコール性肝硬変による肝性脳症のため、2009年7月上腸管膜静脈-下大静脈シャント閉塞術を施行、その後も蛋白制限食とラクツロース、カナマイシンなど投与するも肝性脳症1~2度が持続したためアミノレバン点滴を適宜外来で施行、コントロールされていた。便通は軟便が日に3-4回と良好にコントロールされていた。禁酒は完全で精神症状も安定していた。慢性咳嗽がありデキストロメトルファンを屯用で使用していた。2011年10月から下痢傾向となり腹痛が出現、CTで右側結腸に壁在気腫を認めた。発熱や腹膜刺激症状はなく、下部消化管内視鏡で結腸に柔い粘膜下隆起が多発、病理所見で粘膜筋板下にマクロファージと多角巨細胞を認め、腸管嚢胞様気腫症と診断した。当初は症状軽度で下剤調整や抗コリン薬で症状軽快したが、2012年7月から増悪し、8月酸素療法目的で入院した。カヌラでの経鼻酸素投与5l/分で4日目には症状消失、1週間で腸管壁在気腫も消失し退院した。その後、2012年10月、2013年1月、3月に腹痛と腸管壁在気腫が再燃し、腹腔内遊離ガスも出現したが、いずれも酸素経鼻5l/分の投与で4-5日で症状消失し、1週間後には腹腔内遊離ガスも壁在気腫も消失した。その後7カ月間再燃なく経過し、壁在気腫も完全に消失していたが10月に再燃、酸素5l/分1週間投与で改善、現在外来フォロー中である。【考察】腸管嚢胞様気腫症は腸管壁内に含気性嚢胞が発生する稀な病態である。治療は酸素吸入が第一選択で多くの症例で壁在気腫が消失することが報告されているが、再発例も少なくない。本症例でも5l/分の経鼻酸素投与1週間で改善し、再発を繰り返したものの、短期入院での酸素吸入でコントロールされた。腸管嚢胞様気腫症と肝硬変の合併の報告例はこれまで一例もなく、本症例においても関連性は不明である。今回我々は、肝硬変に合併し経鼻酸素投与により改善するも再燃を繰り返した腸管嚢胞様気腫症の一例を経験し、稀な症例と考え報告した。
索引用語 腸管嚢胞様気腫症, 経鼻酸素吸入