セッション情報 一般演題

タイトル 40:

胃癌術後に発症した特発性腸腰筋出血の1例

演者 若松 喬(杏林大学 医学部 付属病院 消化器・一般外科)
共同演者 長尾 玄(杏林大学 医学部 付属病院 消化器・一般外科), 蓮井 宣宏(杏林大学 医学部 付属病院 消化器・一般外科), 藤原 愛子(杏林大学 医学部 付属病院 消化器・一般外科), 小暮 正晴(杏林大学 医学部 付属病院 消化器・一般外科), 渡邉 武志(杏林大学 医学部 付属病院 消化器・一般外科), 阿部 展次(杏林大学 医学部 付属病院 消化器・一般外科), 森 俊幸(杏林大学 医学部 付属病院 消化器・一般外科), 正木 忠彦(杏林大学 医学部 付属病院 消化器・一般外科), 杉山 政則(杏林大学 医学部 付属病院 消化器・一般外科)
抄録 症例は75歳女性。MU小彎領域の進行胃癌(分化型、5型)、cT2N1=Stage IIAの術前診断で胃全摘術予定であった。術前、下肢エコーにて深部静脈血栓を認めたため、抗凝固療法(ワーファリン21日間内服、手術4日前からヘパリン置換)を施行。手術は胃全摘術、D1+郭清、Roux-en-Y再建を行った。ヘパリンは術後第3病日から投与を開始した。第4病日、誤嚥性肺炎、急性呼吸不全を発症、人工呼吸器管理となった。その後、敗血症、DICを併発するも第11病日にはDICを脱していた。第12病日より原因不明の進行性貧血を認め、ヘパリンを中止。第14病日に右下腹部から右大腿の腫脹が出現、造影CTを施行。造影CTでは右腸腰筋および後腹膜血腫を認め、dynamic CTでは後腹膜腔に造影剤の血管外漏出を認めた。直ちに血管造影を行ったところ、上殿動脈末梢部からの出血であることが判明、同部位をスポンゼルにて塞栓した。その後貧血の進行はなく、CTでも後腹膜血腫の縮小が確認できた。第81病日に退院となった。腫瘍は病理学的にpT3(SS), ly0, v1, pN0=Stage IIAと診断された。胃癌術後に特発性腸腰筋出血を併発した報告例はきわめて稀である。術前・術後に抗血栓療法を要する患者が増加している背景において、本症例は示唆に富み、供覧に値する症例と考えられたので報告する。
索引用語 腸腰筋出血, 抗凝固療法