セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 11:

化学療法が著効し、切除可能となったS状結腸癌+肝転移の2症例

演者 生方 泰成(群馬大学 医学部 臓器病態外科学講座)
共同演者 高橋 憲史(群馬大学 医学部 臓器病態外科学講座), 須納瀬 豊(群馬大学 医学部 臓器病態外科学講座), 吉成 大介(群馬大学 医学部 臓器病態外科学講座), 小川 博臣(群馬大学 医学部 臓器病態外科学講座), 塚越 浩志(群馬大学 医学部 臓器病態外科学講座), 平井 圭太郎(群馬大学 医学部 臓器病態外科学講座), 山崎 穂高(群馬大学 医学部 臓器病態外科学講座), 高橋 研吾(群馬大学 医学部 臓器病態外科学講座), 五十嵐 隆通(群馬大学 医学部 臓器病態外科学講座), 稲川 万里江(群馬大学 医学部 臓器病態外科学講座), 竹吉 泉(群馬大学 医学部 臓器病態外科学講座)
抄録 今回我々は切除不能と診断されたS状結腸癌・多発肝転移に対しCetuximab+FOLFIRI療法を施行し著明な縮小により、切除可能となった2症例を経験したため、報告する。症例1は47歳男性。平成24年11月に前医でS状結腸癌・多発肝転移と診断された。CFではS状結腸に深達度MP、最大径約1.5cmの5型腫瘍を認め、CTでは肝両葉にまたがる最大径約28cmの巨大な腫瘍を認めた。切除不能と診断され、12月よりCetuximab+FOLFIRI療法が開始された。6コース終了時点で化学療法が著効していたため手術目的に当院当科紹介となった。CFでは原発腫瘍は壁肥厚を伴う瘢痕を残すのみ、CTでは肝腫瘍の最大径は15cmまで縮小して、正常肝が代償性に肥大していた。切除可能と診断して平成25年5月腹腔鏡下にS状結腸切除+拡大肝左葉切除を施行した。手術はS状結腸切除を先行して、後に肝切除を行った。症例2は78歳男性。平成23年2月、腹部膨満のため近医を受診した。精査の結果、S状結腸癌イレウス+多発肝転移と診断された。CTではS状結腸癌は周囲のリンパ節腫脹を伴い、壁肥厚が著明で口側腸管が拡張していた。また、肝転移は左葉・尾状葉から前区域にまたがる広汎な腫瘍で、門脈が腫瘍に接するほか、肝静脈が完全に巻き込まれて切除不能と考えられた。イレウス解除を目的に同年3月にS結腸切除を施行した。術後は、肝転移に対する治療として、Cetuximab+FOLFIRI療法を施行した。6コース終了時点で腫瘍は著明に縮小していた。平成24年1月まで、合計15コースの治療を行った。総合効果判定はPRで、当初は左葉から前区域におよび、下大静脈と肝静脈を巻き込んでいた腫瘍が、尾状葉を中心に小範囲を占拠するのみで、縮小率は80%以上と考えられた。主要脈管の温存が可能と考え、平成24年1月に肝左葉・尾状葉切除を施行した。大腸癌における化学療法は分子標的薬の開発により目覚ましい進歩がみられ、診断時に切除不能と判断された症例においてもconversion therapyが可能となることも少なくない。
索引用語 S状結腸癌肝転移, 化学療法