セッション情報 | 研修医セッション(卒後2年迄) |
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タイトル | 59:頸椎転移を契機に発見された胆嚢癌の一例 |
演者 | 重政 理恵(水戸済生会総合病院 消化器内科) |
共同演者 | 鹿志村 純也(水戸済生会総合病院 消化器内科), 仁平 武(水戸済生会総合病院 消化器内科), 中村 琢也(水戸済生会総合病院 消化器内科), 濱中 紳策(水戸済生会総合病院 消化器内科), 大川原 健(水戸済生会総合病院 消化器内科), 渡辺 孝治(水戸済生会総合病院 消化器内科), 柏村 浩(水戸済生会総合病院 消化器内科), 浅野 康治郎(水戸済生会総合病院 消化器内科) |
抄録 | 【はじめに】胆嚢癌の初発症状は腹痛や黄疸であることが多く、骨転移の症状で発症することは稀である。【症例】86歳、男性。主訴:左上肢の痺れと痛み。既往歴:74歳時に前立腺肥大の手術。76歳~高血圧にて降圧剤の内服治療を行っている。現病歴:2010年5月から左上肢の痺れと痛みを自覚して、6月に近医から当院へ紹介となった。頚部のMRIと骨シンチから頸椎(C7)の左椎弓に骨破壊像を認めて骨転移が疑われた。原発病変の検索目的で腹部CTを施行した所、胆嚢底部に乳頭状増殖を示す腫瘤を認めた。また、大動脈周囲や胆管周囲のリンパ節腫大がありリンパ節転移と考えた。腫瘍マーカーはCA19-9が231.9と高値であった。以上から頸椎転移とリンパ節転移を伴う胆嚢癌と考え、頸椎転移から生検を行い、papillary adenocarcinomaを確認してStage IV b の胆嚢癌と診断した。頸椎の転移病変に対しては放射線治療(40Gy/4週間)を行ったが病変は縮小せずに症状も増悪した。その後、TS-1による全身化学療法も導入したが効果なく緩和治療を行い、症状出現後10ヶ月で永眠された。【考察】骨転移を生じる癌は肺癌,乳癌,腎癌,前立腺癌、甲状腺癌などが多く、胃癌などの消化器癌では骨転移の頻度は低いとされているが、近年結腸癌からの転移が増加傾向との報告もある。骨転移の治療は原発病変の薬剤有効性、放射線感受性により肺癌は化学療法、乳癌や前立腺癌はホルモン療法、甲状腺癌は放射性ヨウ素が用いられる。胆嚢癌の経過中に骨転移が生じるのは末期になってからのことが多く、骨転移による症状が契機となって発見される胆嚢癌は非常に稀である。胆嚢癌患者で骨転移が生じた場合は緩和治療のみを行うことが多く、骨転移を伴う胆嚢癌に対するコンセンサスの得られた治療法は確立されていない。本症例でも除痛目的の放射線治療は有効と言えず、TS-1による全身化学療法も無効と判断され、疼痛緩和に重きをおいた治療が行われた。今後、症例の蓄積により病態の解明と治療法が確立されることが期待される。 |
索引用語 | 胆嚢癌, 骨転移 |