セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 70:上部消化管内視鏡検査が誘因となり剥離性食道炎を来した水疱性類天疱瘡の1例 |
演者 | 栗林 志行(群馬大学医学部附属病院 消化器内科) |
共同演者 | 川田 晃世(群馬大学医学部附属病院 消化器内科), 保坂 浩子(群馬大学医学部附属病院 消化器内科), 石原 眞悟(群馬大学医学部附属病院 消化器内科), 安岡 秀敏(群馬大学医学部附属病院 消化器内科), 富澤 琢(群馬大学医学部附属病院光学医療診療部), 佐川 俊彦(群馬大学医学部附属病院光学医療診療部), 水出 雅文(群馬大学医学部附属病院 消化器内科), 下山 康之(群馬大学医学部附属病院 消化器内科), 河村 修(群馬大学医学部附属病院 消化器内科), 山田 正信(群馬大学医学部附属病院 消化器内科), 草野 元康(群馬大学医学部附属病院光学医療診療部) |
抄録 | 【症例】60歳代、男性【主訴】全身の水疱と掻痒感【現病歴】4月初旬から皮膚の掻痒感が出現し、対症療法を行っていた。徐々に水疱が出現し、体動困難となり当院皮膚科に紹介入院となった。皮疹の性状から自己免疫性水疱性疾患が疑われ、同疾患は悪性腫瘍を併発することがあることから、上部消化管の悪性腫瘍検索目的に当科紹介となった。【経過】紹介翌日に上部消化管内視鏡検査を施行した。観察範囲に明らかな悪性腫瘍を疑わせる所見は認められなかった。また、C型肝硬変の既往があったが、食道静脈瘤や胃静脈瘤はみられなかった。胃体上部大弯に周囲粘膜と異なる色調を呈する領域が認められており生検を行い、止血されたことを確認して終了した。しかし、病棟帰室後に吐血が認められ、当科に再紹介となり上部消化管内視鏡検査を再検した。2回目の内視鏡検査では披裂及び喉頭粘膜に水疱が出現しており、食道入口部から食道胃接合部にかけて広範な食道粘膜の剥離を認めた。これらの所見は1回目の内視鏡検査では認められていなかった。なお、生検部位については止血されていた。水疱性疾患については確定診断が得られていなかったが、上記所見から上部消化管内視鏡検査を誘因に剥離性食道炎が生じたものと考えた。披裂及び喉頭の水疱により気道閉塞が出現する可能性も否定できず、同日ステロイド投与を開始し、禁食の上で中心静脈栄養管理とした。その後皮膚生検や自己抗体の結果により、水疱性類天疱瘡と確定診断が得られ、ステロイドと免疫グロブリン大量療法を施行した。これらの保存的治療にて症状は改善し食事摂取も可能となった。【結語】類天疱瘡を含む水疱性疾患では悪性腫瘍の合併が見られることがあり、上部消化管内視鏡検査による悪性腫瘍の検索が必要となる。しかし、水疱性類天疱瘡では剥離性食道炎を引き起こすことがあり、十分な注意が必要と思われる。 |
索引用語 | 剥離性食道炎, 水疱性類天疱瘡 |